アーティエンス・ラボは,透明導光板上にフルカラー3Dホログラム「WOWGRAM」を表示できる照明技術を開発した(ニュースリリース)。
「WOWGRAM」とは,数秒間の動画データや3D画像データから印画されたホログラフィックステレオグラム。ホログラフィックステレオグラムは,照明する光源との位置関係を固定した上で観察した場合,観察者の右目と左目とに違う画像が認識されること,さらに観察者が動くとその動きに応じて異なる画像が見えてくることから,立体像を認識できる。これは光の回折現象を利用しているためで,記録された媒体と,光源と観察者の目とのいずれかが動いても異なる画像が見えることになるという。
同社では,ホログラムの基本性能に関わる技術開発をしており,普及している反射型(フロントライティング)に加えて,導光板(ライトガイド)型でも高画質再生できる技術も開発してきた。
今回,開発したホログラフィック偏向光学素子アレイ「HoCODA」とLEDアレイとを対向して導光板に近接配置させることにより,端部加工などを行なわずにコンパクトに理想的な照明光を導光させることに成功。これにより,透明なガラスやアクリルなどに,普段はその透明度を邪魔せず,必要なときにだけ,空中に浮かび上がるフルカラー立体像や動く画像を表示することができるようになったとしている。
この技術を活用すると,車載用計器表示パネルの前面保護ガラスに非常時にだけ警告表示をしたり,リアウィンドウに後続車両への情報表示を出したりできるようになる他,建物や車両等のガラスに広告・看板を表示したり,アミューズメント機器・ゲーム機器・家電の表示パネルを装飾したりすることもできるようになるという。
さらに同社は,ATMやセルフレジ,KIOSK端末などのタッチパネルに触らずに入力できる非接触UIの需要が高まっていることを受けて,この研究成果を応用した入力UIの試作を実施。従来型の液晶モニター等の上に導光板型「WOWGRAM」を重ねることで,画面から浮かび上がった位置に空中像としてボタン等を表示できるようにしたとしている。