東北大ら,軟X線渦ビームのらせん波面を観測

東北大学,分子科学研究所,高輝度光科学研究センター(JASRI),高エネルギー加速器研究機構(KEK),理化学研究所,物質・材料研究機構らのグループは,インライン型ホログラフィーの手法を用いて,フォーク型回折格子から生成された,らせん状の軟X線渦ビームの位相分布を観測することに初めて成功した(ニュースリリース)。

波面が光軸に対してらせん状に回転しながら進行していく光渦は,中心に位相が定義できない位相特異点の存在や,波面の回転により生じる軌道角運動量を持つなど,平面波には無い特殊な性質を持つ。可視光領域では,このような光渦が古くから研究されており,こうした性質を利用した様々な応用が期待されている。

近年,軟X線領域においては,フォーク型回折格子を用いた光渦の生成方法が報告されている。フォーク型回折格子は,文字通りフォークのような形をした回折格子であり,中心周りを一周する際に位相が回転するトポロジカルな欠陥構造と見ることができる。このようなフォーク構造は磁性体中のトポロジカル欠陥にも一般的に数多く見られる。

この欠陥構造に光を入射すると,その回折方向に渦ビームが生成される。この生成されるビームの位相の巻数(トポロジカル数)から,欠陥構造を推定することができる。例えば,位相が1回転する欠陥構造では,それにより1次の回折方向にトポロジカル数ℓ=1の渦ビームが生成される。従って,欠陥構造から生成された光渦のトポロジカル数を判別することができれば,欠陥のトポロジカルな構造の推定が可能になる。

軟X線渦ビームのトポロジカル数を正確に決定するためには,渦ビームのらせん状の位相分布を観測する必要があるが,これまで軟X線領域においてはそのような報告はなかった。これは,通常のX線計測ではX線の強度のみが観測可能で,位相は観測できないため。

研究グループは,インライン型ホログラフィーにより,軟X線渦ビームの位相分布の観測に成功した。またシミュレーションにより,スキルミオン格子に存在する欠陥のトポロジカルな構造を,この手法により推定できることを示した。

これらの結果は,この手法が磁性体中のトポロジカル欠陥構造に対して,これまでに無い新たなプローブになり得ることを示すものだという。研究グループは更に,トポロジカル欠陥の動的挙動の観測等,新たな研
究への応用が期待されるとしている。

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