九大ら,原発由来の微粒子状プルトニウムを発見

九州大学,国立極地研究所,筑波大学,東京工業大学,フィンランドHelsinki大学,スイスPaul Scherrer研究所,英Diamond放射光,仏Nantes大学,米Stanford大学らの研究グループは,これまで存在が予想されながらもその粒子の細かさから解析が難しかったプルトニウム(Pu)含有燃料微粒子を含む粒子を福島県の土壌から初めて発見し,多角的な先端微細分析を駆使してナノレベルでの解析に成功した(ニュースリリース)。

2011年におきた原子力災害により,一部の放射性セシウムが水に溶けにくい高濃度放射性セシウム含有微粒子(CsMP)として環境中に放出され,関東地帯まで拡散した。研究はCsMPから燃料微粒子を発見し,最先端の二次イオン質量分析やシンクロトロン放射光マイクロビームX線分析,原子分解能電子顕微鏡を駆使してウラン(U)とPuの同位体分析,化学種の同定を行なった。

その結果,CsMP内部にU(IV)O2ナノ結晶を同定するとともに,U濃集部におけるPu,ジルコニウム(燃料被覆管の成分)の局在化を示すことに成功した。さらに,燃料微粒子中のUとPuの同位体比235U/238U,240Pu/239Pu,そして242Pu/239Puはそれぞれ〜0.0193,〜0.347,〜0.065と決定され,計算コードで算出された照射燃料の値と一致した。

これらの結果から,Puは燃料微粒子としてCsMPに取り込まれて環境中に放出・拡散されたこと,かつ,炉内に残された燃料デブリ中においてPuがナノスケールで不均質に分布することを部分的にだが直接示すものであり,これから長期にわたる廃炉工程・燃料の取り出しのために必要なデブリ性状把握に貢献できるとしている。

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