京都府立医科大学,大阪大学の研究グループは,従来の凍結・薄切切片・HE染色を用いたリンパ節転移の術中迅速診断法に代わって,より短時間で転移巣を検出できる手法を開発した(ニュースリリース)。
近年,リンパ節転移診断における人工知能(AI)の応用が報告されているが,多くはヘマトキシリン・エオジン(HE)染色画像の解析であり,蛍光画像を用いたものはこれまで報告がなかった。
研究グループは,希土類イオンの一つであるテルビウムイオンを用いて,細胞や組織を短時間でコントラストよくイメージングできる新規の蛍光染色法を開発した。
この研究は,1)波長300nm以下の深紫外光が組織表面への透過性が低い性質を持つこと,2)蛍光染色が短時間で行なえること,を利用して,従来の凍結・薄切切片・HE染色を用いたリンパ節転移の術中迅速診断法に代わって,病理医が不在の状況でもより短時間に転移巣を検出できる手法を開発したものとなる。
今後,深紫外励起蛍光画像のAI解析による迅速リンパ節転移診断の実現(10分間以内)が期待されるとともに,将来この組織診断法を用いた診断支援システムは術中の癌の検出だけでなく,その迅速性を生かした生検術中の診断支援にも応用可能だとしている。