府立医大ら,深紫外励起蛍光画像でリンパ節転移を検出

京都府立医科大学,大阪大学の研究グループは,従来の凍結・薄切切片・HE染色を用いたリンパ節転移の術中迅速診断法に代わって,より短時間で転移巣を検出できる手法を開発した(ニュースリリース)。

近年,リンパ節転移診断における人工知能(AI)の応用が報告されているが,多くはヘマトキシリン・エオジン(HE)染色画像の解析であり,蛍光画像を用いたものはこれまで報告がなかった。

研究グループは,希土類イオンの一つであるテルビウムイオンを用いて,細胞や組織を短時間でコントラストよくイメージングできる新規の蛍光染色法を開発した。

この研究は,1)波長300nm以下の深紫外光が組織表面への透過性が低い性質を持つこと,2)蛍光染色が短時間で行なえること,を利用して,従来の凍結・薄切切片・HE染色を用いたリンパ節転移の術中迅速診断法に代わって,病理医が不在の状況でもより短時間に転移巣を検出できる手法を開発したものとなる。

今後,深紫外励起蛍光画像のAI解析による迅速リンパ節転移診断の実現(10分間以内)が期待されるとともに,将来この組織診断法を用いた診断支援システムは術中の癌の検出だけでなく,その迅速性を生かした生検術中の診断支援にも応用可能だとしている。

その他関連ニュース

  • 公大,1台のカメラで薄膜の皺の大きさを測定 2024年11月22日
  • 公大,手術中の末梢神経の血流状態を可視化 2024年10月02日
  • 東大ら,世界最高速の蛍光寿命顕微鏡を開発 2024年09月05日
  • 産総研,るつぼ内の金属の流動凝固をX線で可視化 2024年09月04日
  • 産総研ら,サンゴで生じる結晶微粒子を可視化 2024年08月27日
  • NTT,世界で初めて高精細な音の見える化を実現 2024年07月25日
  • 東大ら,タンパク質間相互作用を超高解像度で可視化 2024年06月10日
  • 名大,ミトコンドリア内膜の特性を蛍光寿命で解析 2024年05月30日