コニカミノルタと東京大学の研究グループは,ディープラーニングを高速に処理するハードウェアのためのコンパイラ「NNgen(エヌエヌジェン)」を開発し,このコンパイラをオープンソースとして一般公開する(ニュースリリース)。
ディープラーニングの活用により,画像・映像の解析処理などの分野で劇的な精度向上が実現されてきた。一方で膨大な計算が必要となるため,特に現場にあるIoTデバイス(エッジデバイス)での活用に向けて省電力かつ高性能な専用ハードウェア(アクセラレータ)の重要性が増してきている。
このような専用ハードウェアを実現する方法の一つに,回路構成の変更可能な集積回路である「FPGA(Field Programmable Gate Array)」を用いる方法がある。近年では,FPGAと高性能なCPUや高速I/Oなどがワンチップに集積されたFPGAが製品化され,システム全体をワンチップで構成でき,性能と柔軟性を高い電力効率で実現できる。
ディープラーニングモデルを手軽にかつ効率的にFPGA実装できるコンパイラ「NNgen」を活用することで,従来は技術的に困難であった様々なエッジデバイスへのディープラーニング技術の導入が可能になるという。
「NNgen」は,用途に応じて構築・学習済みのディープラーニングモデルを,高速に処理できる専用アクセラレータをFPGA上に手軽にかつ効率的に実装するためのドメイン固有型の拡張可能な高位合成コンパイラとなる。モデルに特化したハードウェアアクセラレータのハードウェア記述(Verilog HDL)およびIPコア設定ファイル(IP-XACT)を生成する。
コニカミノルタは成長戦略として強みである画像・映像の高速処理技術を活かした画像IoT,AI技術開発を推進している。
研究グループはコンパイラのオープンソース化を通じて,より幅広い開発者,研究者に利用されることでコンパイラの進化を期待するとして,ソフトウエア開発のプラットフォームGitHubにて,NNgenのソースコードを公開するとしている。