キヤノンは,グローバルシャッター機能の搭載に加え,可視光域と近赤外線域での撮像を同時に行なうことができるCMOSセンサー「3U5MGXSBAI」を2019年10月17日より発売した(ニュースリリース)。
この製品は,2/3型で有効画素数約532万画素(2,592×2,056)のCMOSセンサー。同社は,この製品を投入することで,産業用途の画像認識における多様なニーズに応えるという。
例えば,食品工場において,カラー画像でパッケージ表面の印刷状態の検査を行なうと同時に,近赤外線画像でパッケージ内部の異物検査を行なうことが可能となる。また,交通監視では,1台のカメラで日中はカラー画像,夜間は近赤外線画像により,ナンバープレートなどの車両情報を認識することができる。
高速移動する被写体を撮影する産業用途などにおいては,ローリングシャッター方式のCMOSセンサーは,画素行ごとに順次露光するため,信号読み出しにわずかな時間差が生じ,高速移動する被写体がゆがんで撮像されることが課題とされている。この製品は,全画素を同時に露光するグローバルシャッター方式を採用しているため,高速で動く被写体もゆがみなく正確に撮像することが可能となる。
また,カラーフィルターの1画素を近赤外線域用の画素として割り当てることで,1つのセンサーで,カラー画像と近赤外線画像を同時に取得できる。そのため,複数台のカメラを用いた大規模なシステムを構築する必要がなく,撮像システムや検査装置の小型化に貢献する。
73dBの広いダイナミックレンジにより,明暗差の大きい状況においても高画質な画像を撮像できる。また,任意の領域を最大8領域まで選択し,読み出す情報量を削減することで,フレームレートを上げることができるROI(Region of Interest)機能を搭載している。
さらにこの製品は,被写体が特定の位置を横切ったタイミングで露光し,撮像することができる外部トリガー露光制御機能や,カメラを天井などに逆さに設置した場合でも,センサー内で見やすい向きの画像にして出力することができる水平・垂直反転機能を搭載するとしている。