千葉大学は,ビデオホログラフィ専用の計算機システム「HORN-8システム」を改良し,より高画質なホログラフィの投影に成功した(ニュースリリース)。
映画館でも楽しめるようになった3次元映像だが,健康被害のリスクから子どもの利用は制限されている。これは立体視を実現するために両眼の見え方の差(両眼視差)を用いていることで,脳が知覚する距離と両眼の焦点が合う距離がずれてしまい,「3D酔い」と呼ばれる現象を引き起こすため。
ビデオホログラフィーの研究者らは「両眼視差」以外にも様々な要因を考慮し,安全な3次元映像を投影できる3次元テレビの実現に向けた研究を進めている。ビデオホログラフィーの開発で課題になるのが,その莫大な画素数の計算処理を担うハードウェアの問題。1秒当たり10フレームの動画を作るためにも,1フレームあたり1兆画素を超える計算処理能力が必要とされる。
研究グループは,25年に渡って高速で高画質なホログラフィーを実現するための専用計算機の開発を進めてきた。今回の研究では光の位相を調整する計算方式を採用したところ,より高画質なビデオホログラフィーの投影に成功したという。
研究グループは今回の研究により,既存の3次元映像の投影方式で懸念されている子どもの健康被害を避けるための,ビデオホログラフィーの可能性を示したとしている。