大阪大学は,投影面に触れてもほとんど影が生じないプロジェクションマッピング技術の開発に成功した(ニュースリリース)。
これまでプロジェクションマッピングではプロジェクターからの光が遮られることによって,投影面で映像が欠けてしまうという問題があった。
これにより,プロジェクションマッピングの利用シーンはプロジェクターと投影面との間に何も存在してはいけないという状況に制限され,自在にモノの見た目や存在感を変えることができる,という特長を十分に発揮できていなかった。
今回,研究グループは,医療現場で利用される影の生じにくい照明「無影灯」の原理に着想し,幅広い方向から投影面に映像を照射することで,面に触れるほど物が近づいても,いずれかの方向からの光が面に届くため,影(映像の欠け)がほとんど生じないプロジェクションマッピングを実現した。
具体的には,微小な鏡が直交に配列された特殊な光学系を使った。この光学系は,一般的に空中像を提示するために用いられるもので,数十センチ角に大面積化可能。空中像を投影面に照射するという発想の転換により,これまで想定されていなかった光学系の利用方法を発案し,様々な方向から光が投影面に届く新奇なプロジェクションマッピングの仕組みを実現した。
研究グループは,今回の研究により,投影面に触ることのできる新奇プロジェクションマッピング広告や展示,ガイダンス映像を患部にマッピングする手術支援への応用に期待できるとしている。