矢野経済研究所は,2018年度の非破壊検査市場を調査し,装置・機器の世界及び日本市場,及び受託業務の世界及び日本市場の動向,参入企業動向,将来展望を明らかにした(ニュースリリース)。
それによると,2017年度の非破壊検査世界市場(装置・機器及び受託業務,事業者売上高ベース)を2兆8,356億円と推計。そのうち,装置・機器世界市場は8,150億円で受託業務世界市場は2兆206億円とした。2018年度は装置・機器世界市場は8,693億円で前年度比106.7%,受託業務世界市場は2兆877億円と前年度比103.3%になると見込む。
非破壊検査業務及びその業務を支える装置・機器の需要はプラス成長しており,市場は需要増に伴う成長をしていくとする。非破壊検査装置・機器は受託業務以外の社内検査でも使用されることから堅調に増加しており,受託業務市場はウェイトが大きい土木・橋梁分野及びガス・水道分野の検査業務量増加により需要が増すことで,両市場ともに成長すると見込む。
2017年度の非破壊検査日本市場(装置・機器及び受託業務,事業者売上高ベース)は2,293億円と推計。そのうち,装置・機器日本市場は992億円で受託業務日本市場は1,301億円。2018年度は装置・機器日本市場は1,036億円で前年度比104.4%,受託業務日本市場は1,309億円と前年度比100.6%を見込む。日本国内でも,インフラ老朽化による受託業務市場が拡大するとともに,自動車や航空・宇宙,複合素材,電子部品分野など受託業務以外の社内検査の需要活況で装置・機器市場も成長すると見込む。
非破壊検査装置・機器日本市場では製品の規格化が普及・発展におけるキーだとする。その理由の一つは,規格適合品でなければ受託検査業務を実施できないため。画期的な新技術による,新規開発品があったとしても,簡単には既存品から代替されず,まず社内検査等で活用されるケースが多い。その後,改善が繰り返され,汎用化することでようやく広く普及し始めることとなる。その有効性が評価されると規格化され普及発展を遂げるという。
非破壊検査世界市場(装置・機器及び受託業務)は,2018年度以降2020年度までは前年度比約104%で推移すると見込む。その後,新興国におけるインフラ設備への投資が急成長した1980年代から約40年が経過する2021年度以降は,徐々にそれらの国々で非破壊検査業務量が増加するため,2017年度から2025年度までの年平均成長率(CAGR)は5.2%とさらなる成長を続けると見る。
そうしたことから,2025年度の非破壊検査世界市場(装置・機器及び受託業務,事業者売上高ベース)を4兆2,592億円と予測し,そのうち装置・機器世界市場が1兆3,630億円,受託業務世界市場は2兆8,962億円になると予測する。
また,日本国内でも,非破壊検査業務受託企業や受託せずに社内で検査業務を実施する企業等の事業拡大により,成長が続くと見る。2025年度の非破壊検査日本市場(装置・機器および受託業務,事業者売上高ベース)を2,826億円と予測し,そのうち,装置・機器日本市場が1,407億円,受託業務日本市場は1,419億円になると予測する。