理研,磁化プラトー相の量子スピンダイナミクスを解明

理化学研究所(理研)と上海交通大学らの国際共同研究グループは,三角格子反強磁性体アンチモン酸バリウムコバルト(Ba3CoSb2O9)の強磁場中「磁化プラトー相」の量子スピンダイナミクスの詳細を明らかにした(ニュースリリース)。また,マグノン-スピノン対の分数化現象など,本質的に新しい現象が無磁場中で起きている可能性が高いことも示した。

今回,国際共同研究グループは,強磁場中の中性子散乱実験と非線形スピン波理論によってBa3CoSb2O9の磁化プラトー相の励起スペクトルを調べ,実験が非常によく再現されることを示した。このことは,量子効果によって実現している磁化プラトー相の磁気励起がよく知られたスピン波励起(マグノン)であることを意味するという。

さらに,対象物質の磁気異方性などのモデルパラメータを正確に決定することにより,先行研究で報告された無磁場中のBa3CoSb2O9の磁気励起スペクトルについて,逆に,通常のマグノンとしては説明できないことも明らかにした。

この成果により今後,マグノン-スピノン対の分数化現象を説明する理論研究や、Ba3CoSb2O9以外の量子磁性体で同じような新しい現象を探索する実験研究がさらに活性化することが期待できるという。スピノンのタイプによっては,量子コンピュータなど将来的な技術革新の主役となることが期待されているものもある。

研究グループは,マグノン-スピノン対の分数化現象についての今後の実験および理論研究の活性化が,スピノンという新しい分数励起について確かな知見を蓄積していくことに貢献すると考えているという。

その他関連ニュース

  • 東大,マグノンの特殊な状態が現れるモデルを提案
    東大,マグノンの特殊な状態が現れるモデルを提案 2021年10月22日
  • 東北大ら,磁気八極子の観測に放射光で成功 2021年09月27日
  • 阪大ら,スピントロニクス材料の電子構造を可視化 2021年09月22日
  • 東大ら,ガーネットで誘電分極と磁化の共存を実現 2021年09月21日
  • 産総研ら,超伝導体でスピン配列の制御を実現 2021年09月07日
  • 東大ら,中赤外光パルスで超高速磁気異方性を制御 2021年09月02日
  • 東大ら,新奇磁性体を発見するデザイン則を開発 2021年08月31日
  • 東北大,常温で量子情報の3D画像の観察に成功 2021年08月19日