ソニーは,新開発のA/D変換器を画素毎に配置し,全画素同時に露光したアナログ信号を各々即座にデジタル変換(画素並列A/D変換)することで,グローバルシャッター機能を実現した,有効画素数146万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサーを開発した(ニュースリリース)。
現在のカラムA/D変換方式のCMOSイメージセンサーは,画素で光電変換したアナログ信号を行毎にA/D変換して読み出す為,行毎の読み出し時間のずれによる画像の歪み(フォーカルプレーン歪み)が発生していた。
開発品は,新開発の低電流動作可能で小型のA/D変換器を全ての画素の下に配置し,全画素同時に露光したアナログ信号を各々即座にデジタル変換(画素並列A/D変換)した後に,デジタルメモリーで信号を一時保持する。これにより,行毎の読み出し時間のずれによるフォーカルプレーン歪みを解消し,100万画素以上の高感度な裏面照射型CMOSイメージセンサーでは,業界で初めて画素並列A/D変換器によるグローバルシャッター機能を実現した。
また,従来のカラムA/D変換方式に比べて,およそ1,000倍もの数のA/D変換器の搭載により増大する電流の課題に対しては,業界最高性能の低電流動作可能な小型の14ビットA/D変換器を開発することで克服した。
さらに,A/D変換器およびデジタルメモリーは,積層型構造として下部のチップに配置することで,搭載スペースを確保した。上部チップの各々の画素との接続には,同社が2016年1月に世界に先駆けて量産出荷した,「Cu-Cu(カッパー・カッパー)接続」の技術を採用している。加えて,A/D変換の為の大量データの読み書きに対しては,新開発のデータ転送機構を搭載することで高速化を実現した。