島津製作所は,同社のマイクロフォーカスX線CTシステム「inspeXio(インスペクシオ)SMX-225CT FPD HR」向けに,CT画像に発生するアーチファクトを大幅に低減して鮮明な画像を取得可能にする「金属アーチファクト低減ソフトウェア」を発売した(ニュースリリース)。価格は50万円(税別)。
マイクロフォーカスX線CTシステムは,観察対象物(ワーク)の内部構造を3次元で観察するための装置。アルミダイカスト部品などの故障解析や検査などに長けている一方で,金属と樹脂などX線吸収率の異なる素材で形成される複合部品を撮影すると,アーチファクトと呼ばれる本来は存在しない虚像が発生し,観察の妨げになることがある。
このソフトウェアは,樹脂材料でも鮮明な画像を取得できるこのシステムの利点を犠牲にすることなく,選択されたワークの材質に合わせた画像処理を行なうため,複合素材で形成されたワークの画像に発生したアーチファクトも大幅に低減することできる。同社での試験においては,アルミニウム,鉄,樹脂から形成された評価用ワークの撮像画像に対して,アーチファクトを約90%低減できた。
そのため,ケーブルコネクタやフォトセンサーのような部品やリチウムイオン電池などの観察に適している。また,処理途中の画像を表示し,使用者が望むアーチファクト低減度合いで処理を止めて画像を出力することが可能なため,処理時間を最小限に留めることも期待できるとしている。