自動車産業を取り巻くフォトニクス関連市場の現状と今後

■自動車用アクティブセーフティーシステムの世界市場

自動車向けアクティブセーフティーシステムの世界市場は競争が激しくすべてのプレーヤーが市場シェアを巡ってしのぎを削っている。自動車価格の下落,エンドユーザーの嗜好の変化がベンダーにとって大きな課題となっており,莫大な初期投資が必要なため新規プレーヤーの参入は限定的である。

こうした中にあって,例えば,Delphiはエンジンコントロールユニット(ECU)のトップメーカーであるが,同社はこの領域での経験を活かし,最新のアクティブセーフティーシステムを開発している。高機能なシステムをボリュームゾーン向けに抑えた価格で提供できるのが強みで,アクティブセーフティーシステムの9つのセグメント向けに製品を提供している。

一方,全自動車市場で第2位に位置づけられるTRW Automotiveはアクティブセーフティー,パッシブセーフティー両方の製品を開発している。OEM,アフターマーケット向けに幅広いコンポーネント,システム,モジュールを提供している。2014年には研究開発に1億9,300万米ドルの投資を行なったという。

■追突回避システムの世界市場

2015年から2019年まで衝突回避システムの市場は年平均22.02%で拡大すると予測されている。現状では検出から事故回避までを可能とする統合された衝突回避システムは存在しないが,関連企業は前方衝突警報,車線逸脱警報,死角検知といった機能をすべて備えた製品の開発に取り組むものと見られている。

■前方衝突警報の世界市場
図1 前方衝突警報の世界市場推移
図1 前方衝突警報の世界市場推移

前方衝突警報市場は2014年に11億3,000万米ドル規模であったが,年率29.35%で拡大し,2019年までに40億9,000万米ドルに達すると予測されている。

全衝突回避システムのうち,前方衝突警報市場は①追突事故による人事的被害の増加によって乗客,政府ともに安全性への関心が高まっていること,②政府関係省庁,米国,欧州,日本などのNCAPが大型トラックを含む車両に前方衝突警報,衝突回避システムの搭載を義務付ける厳格な規制の制定に向けて動いていること,③フィールドテストの結果,追突事故10%,死亡17%,けが21%,衝突率25%を減らせるという見通しが提示されたこと―などによって市場の飛躍的な拡大が見込まれている(図1)。