島津製作所は,同社の血管撮影システム向けに,デジタル・サブトラクション血管造影法(DSA法)によって取得したX線画像に発生するアーチファクト(虚像)をリアルタイムで自動補正する技術「Flex-APS(フレックス エーピーエス)」と,心臓カテーテル治療(PCI)においてX線照射量を増加させずに画像上のノイズを従来比で約50%低減してステントなどの視認性を向上させるPCI支援アプリケーション「SCORE StentShot(スコア ステントショット)」を開発した(ニュースリリース)。
DSA法は,血管に造影剤を注入する前後でX線撮影を行ない,血管を造影した後の画像から造影前の骨や臓器の像を減算処理することで,血管のみの像を得る手法。この手法において,造影剤注入前後の撮影で被検者の動きによる画像のずれが生じると,減算処理後にアーチファクトが発生する。アーチファクトの補正には時間がかかり,再撮影が必要になるケースもあることから,短時間で高精度に画像を補正する技術が求められている。
これに対し,同社は,被検者の移動方向や移動量をベクトルとして捉え,撮影中にリアルタイムで画像を自動補正する独自の新技術「Flex-APS」を開発した。従来は平面的な動きに対する平行・回転・拡大・縮小などの線形補正が主だったため十分な補正効果を得られないことがあったが,脳血管や四肢血管などにおけるひねりもしくはねじれ方向の体動についてもリアルタイムかつ非線形に補正する新技術によって,より効果的なアーチファクトの低減が可能になり,使用する造影剤の減量や検査時間の短縮などが期待できるという。
さらに同社は,心臓カテーテル治療における新しいリアルタイム画像処理アルゴリズムを開発した。このアルゴリズムを搭載したPCI支援アプリケーション「SCORE StentShot」は,X線照射量を増加させずに画像上のノイズを従来より約50%低減することでステントの視認性を更に高め,治療の安全性向上や治療時間短縮による低被ばく化に貢献することが期待できるとしている。