東工大,カゴ型タンパク質による金収集を観察

東京工業大学の研究グループは,生体中で鉄を貯蔵するタンパク質「フェリチン」が金属を集めるカゴとして利用できることに着目。その結晶内で,金原子が集積していく様子を原子分解能で追跡することに成功した(ニュースリリース)。

この結晶は,タンパク質が形成するカゴの内部で金属原子を自由に動かすことができる。通常,X線構造解析に用いられるタンパク質結晶は,非常に脆く,反応試薬等を添加するだけで容易に壊れてしまう。

研究グループは今回,結晶内で隣り合うカゴ型タンパク質を架橋化させる(補強する)ことで,頑丈な結晶を作製。その結果,カゴ内部に結合していた金の原子が,還元剤を添加することで,タンパク質を構成するアミノ酸と手をつなぎながら踊るように移動していった。その様子をX線結晶構造解析によるスナップショット追跡で捉えることができた。

タンパク質と結合する金属は,光合成や酸素運搬に必要不可欠で,ミネラルの貯蔵や骨などの形成にも重要な役割を果たす。この成果は,これらの生体に重要な反応を解明する上でも重要な手法になると考えられるとしている。

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