ケイエルブイは,フィンランドSPECTRAL ENGINES社(SE社)の超小型近赤外分光センサーモジュール「NMシリーズ」を取扱っている。SE社は,VTT(フィンランド技術研究センター)にて長年研究されてきたMEMS型ファブリペロー近赤外分光技術を応用し製品化を行なっている。
SE社の近赤外線分光センサーの技術的特徴は,ファブリペロー干渉計とMEMS制御による分光方式にある。一般的な近赤外線センサーはグレーティングと2次元アレーセンサーを用いているが,SE社は独自の方式により大幅な小型化と低価格化を実現した。
その大きさは25×25×17mm,重さは僅か15g。これは一般的な赤外線分光センサーの約1/10のサイズとなっている。価格は光源(内蔵),コントロールソフトが付いて35万円と,こちらも一般的な赤外線分光センサーの1/4~1/8程度であり,コスト面でも非常に優れた製品となっている。
小型で堅牢な削り出しボディには2つのタングステンランプ光源のほか,近赤外分光測定に必要な部品がすべて搭載されている。給電はデータ通信を兼ねたPCとのUSB接続によって行なうので,ソフトをインストールしたPCに接続するだけで使用できる。
ソフトはデータの取得や保存はもちろん,光源の強度を10%刻みで10段階にコントロールできる。オプションとしてマイクロ反射光学系とSMAコネクターのアダプターが用意されており,反射型もしくは透過型センサーとしてすぐに使える。さらに出荷時に校正も済んでいるなど,まさにReady to useな近赤外分光モジュールと言えよう。
測定波長は1.35~2.15㎛に対応しており,波長別に1.35~1.65㎛の「NM1.7」,1.55~1.95㎛の「NM2.0」,1.75~2.15㎛の「NM2.2」の3タイプを展開。今後,2~2.45㎛の「NM2.5」も発売予定だという。感度が高く,SN比は冷却付きリニアアレイ分光器の40倍となる10,000:1となっている。
同シリーズはOEMによる装置組み込みを意識しており,SDKのほか,条件次第で様々なカスタマイズにも対応する。一例としてSE社ではマイクロ反射光学系とBluetooth,バッテリーを一体にハウジングし,ワイヤレスで使用できる反射赤外線分光センサーを「NR-Wワイヤレス反射デバイス」として製品化している。
これらの製品は全てケイエルブイが扱っており,サンプル出荷も行なっている。近赤外線の応用分野は紙や粉などの水分測定やモニタリング,食品,薬品,さらには生体モニターなど広い範囲に及ぶ。
同社営業部課長の田中敏行氏は「検査装置・機器での採用だけでなく, 小型・軽量なので工場ラインへの設置にも適しています。IoTやインダストリー4.0といった製造分野でのイノベーションを後押ししたいですね」と話している。
「NMシリーズ」の仕様,詳細についてのURLは以下の通り。
NMシリーズ仕様
波長範囲 | 1.35 ‒ 1.65μm(NM1.7) / 1.55 ‒ 1.95μm (NM2.0) / 1.75 ‒ 2.15μm(NM2.2) |
波長分解能(FWHM) | 14 ‒ 18nm (NM1.7) / 16 ‒ 22nm(NM2.0) / 20 ‒ 26nm(NM2.2) |
検出器 | InGaAs(単一素子) |
内蔵光源 | 2タングステンバキュームランプ |
ランプ寿命 | >40,000 時間 |
波長ポイント | 511ポイント(最小ステップ0.1nm) |
波長切り替え時間 | 1ms |
SNR | > 10,000(typ.平均化なし) |
動作温度範囲 | 10..+50°C(結露なし) |
消費電力 | < 1.1 W (peak) / < 300 mW (nominal) |
光学インターフェース | マイクロ反射光学素子 / SMAコネクタ(オプション) |
サイズ (幅 x長さ x高さ) | 25 x 25 x 17.5 mm3 |
重量 | 約15g |
詳細ページURL
「NMシリーズ」
https://www.klv.co.jp/product/sensor_module_nm.html