JR東海は,レーザーによる3次元測量技術を用いた橋りょうまくらぎ測量装置を開発した(ニュースリリース)。
同社は平成21年より東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策を実施しており,その一環として今年度から,無道床橋りょう(まくらぎを主桁に直結し,床版や道床(バラストや軌道スラブ等)を設けない橋りょう)における脱線防止ガードの敷設を進めている。
無道床橋りょうでは,列車が通過する際に列車荷重により橋桁にたわみが発生するという特性があり,このたわみを考慮して橋りょうまくらぎの厚さを連続的に変えて設置することで快適な乗り心地を確保している。このため,橋りょうまくらぎの交換にあたっては,作業員がその厚さを定規等で1本毎にミリ単位の精度で測量し,同じサイズの橋りょうまくらぎを製作する必要があった。
現在計画している無道床橋りょうでの脱線防止ガード敷設(24.4km)を進めるにあたっては,今後,約3万本を専用の橋りょうまくらぎに交換する必要があり,それに伴って測量作業を大量に行なう必要がある。そこで,高精度かつ効率的に測量できる3次元測量技術を用いた測量装置を開発した。
開発した装置はレーザースキャナー,GPS,走行距離計等により構成されている。これらを電動で走行可能な台車に搭載し,オペレーターが操縦してレール上を2km/hで自走し測量する。
レーザースキャナーの位置や角度を変えて複数回測量することで,敷設された橋りょうまくらぎの3次元位置情報を高い精度(最大誤差±1mm)を保ちつつ効率的に取得することができるという。これにより,作業員が測量していた時に比べ,1日当たりの測量可能な距離は約20倍に向上する(従来:30m/日,新装置:600m/日)。
これにより,橋りょう上における不安定な姿勢での測量作業が不要となり,作業の安全性が向上する。なお,この装置は今年11月に3次元測量のアスコ大東と共同で特許を出願している。