澁谷工業は,レーザー加工機や医療用レーザー治療器などを製作してきたレーザー発振器技術活かし、名古屋大学教授の川瀬晃道氏の技術指導のもと,高出力タイプで小型のテラヘルツ波発生装置を開発した(ニュースリリース)。
今回開発した高出力テラヘルツ波発生装置は,厚さ10mm程度の検査能力だが,発振出力をパワーアップすることにより,30mm程度まで検査することができる。また,独自の技術でis-TPG方式のコンパクト化にも成功し,さらに,周波数の可変ができると共に,2つのテラヘルツ波を同時に発生させて複数の検査が行なえるなどの特長もあるという。
主な装置仕様は以下の通り。
・励起光源:ピコ秒YAGレーザーと狭帯域半導体レーザー
・発振方式:is-TPG方式(injection seeded THz-wave Parametric Generator)
・発振出力:6kW(ピーク値)
・発振周波数:0.8THz~3THz(可変)
・装置寸法:300mm(L)×300mm(W)×200mm(H)(レーザ発振器を含まず)
・装置総重量:12kg
テラヘルツ波は,光と電波の中間にある電磁波で,物質への透過性と物質の種類を見分ける機能があり,最後の未開拓領域の電磁波として応用が期待されている。空港などの施設におけるセキュリティゲートでの危険物検査や麻薬や爆薬の郵便物検査,食品・医薬品の異物有無検査,注射剤シリンジの液漏れシール検査,細胞内水分量の測定など幅広い用途に利用することができる。
今回,同社は,これらの用途に用いるために開発を行なった。今後,同社の事業分野と関連のある食品分野や医療分野,農業分野などにおける様々な用途開発にも注力するとしている。