三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は,太陽熱発電システムの集光・集熱試験設備を同社横浜工場(横浜市中区)に完成させ,実証試験を開始した(ニュースリリース)。
これは環境省から「平成28年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の委託を受けて,2016年度(平成28年度)末まで取り組むもの。
従来よりも高温の蒸気による高効率化や高温蓄熱システムの最適制御などについて検証し,低コストで安定した電源供給を実現する太陽熱発電システムの技術開発を推進する。
今回,実証試験を行なうのは,集光型太陽熱発電(CSP)といわれる方式で,集光装置により太陽熱を集めて高温蒸気を生成し,蒸気タービン発電機を用いて発電するもの。
太陽光発電に比べ日射量変動時における発電出力の変動が小さく,集めた熱を蓄熱設備で貯蔵して曇天時や夜間でも安定して電力を供給することができる。半面,太陽光発電に比べシステムが複雑で発電設備のコストが高いといった課題がある。
同社が採用した集光・集熱方式は,分割した鏡を平面に配置して傾きを変化させながら集光する低温型フレネル蒸発器とヘリオスタットで集光するタワー過熱器を組み合わせた独自のハイブリッド型システム。
従来のCSPシステムに比べ低コストで高温の蒸気をつくることができるという。集熱量全体の約7割を低コストの低温型フレネル蒸発器で集め,残りをタワー過熱器で集める仕組みとなっている。
完成した試験設備は,約1万平方メートルの敷地に低温型フレネル蒸発器とタワー過熱器,太陽の動きを追尾しながら鏡で光を反射させて一定方向に送るヘリオスタット150基などが配置され,発電機を設置すれば,出力300キロワット相当の発電が可能だとする。
試験設備では,低温型フレネル蒸発器で水を温めて,まず300℃近くの蒸気をつくる。それを小型タワー上部に設置した過熱器に送り,さらにヘリオスタット集光で550℃まで過熱することにより,ハイブリッド型集光システムの技術検証を行なう。
10月には高温蓄熱システムの試験も開始し,夜間における発電の実効性についても探っていく予定。
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