ウシオ電機は,カネカと共同で,検査診断の現場や実験室で使用できる小型で持ち運び可能なネットワーク対応型の温調機能付き吸光度計「MyAbscopeTM(マイアブスコープ)」を開発した(ニュースリリース)。8月1日よりカネカが発売を開始する。
従来,病原菌などを検出する場合,検体の前処理を行なう高温処理と,酵素反応をモニタリングする恒温・吸光度測定は,それぞれ実験室内の専用装置で行なう必要があった。
しかし,近年,医療施設や空港・港湾などでは,世界規模で増加する感染症や食の安全に対するリスクに対応するため、オンサイトで簡便・迅速に測定できる検査装置へのニーズが高まっていた。
これに対し。ウシオは自社のSOT技術により,カネカが考案した「恒温・吸光度測定モジュール/高温処理モジュールの一体化」を実現。100℃近い高温処理機能と正確な吸光度測定機能を1台に搭載した温調機能付き吸光度計を開発した。
SOT技術とは,シリコーン・オプティカル・テクノロジー(Silicone Optical Technology)のこと。光学系部分をシリコンで形成し,コンパクト,低コスト,かつ非常に高い迷光除去を実現する。
このSOT技術によりつくられた光学モジュールは,紫外光から可視光の波長域において高い透過性,低い複屈折など優れた光学特性を持ち,さらに,自家蛍光が少ない,高耐熱,耐薬品性,耐候性に優れ,ガラスなどを用いた従来の光学系に比べ小型高性能化が実現できるという。
この製品は,タブレット端末で通信制御・データ保存を行ない,バッテリー駆動が可能なため,現場で検査ができ,検査員の負担軽減はもちろん,ネットワークと繋がるIoT分析機器製品として,医療分野への展開も予定しているという。
アプリケーションとして・高温処理(DNA抽出など)・等温核酸増幅反応モニタリング・酵素反応モニタリング などを想定している。