パナソニックは,ブラウン管事業に係る欧州普通裁判所の判決に関して欧州司法裁判所に上告していたが,7月8日,欧州司法裁判所より同社の上告を棄却する決定の通知を受けたと発表した(ニュースリリース)。これにより,同社に課された制裁金1億2,886万6,000ユーロ(約143億円:1ユーロ=111.22円で換算)が確定した。
2012年12月,欧州委員会は同社及び同社子会社のMT映像ディスプレイ(MTPD)に対し,テレビ用ブラウン管事業に関して欧州競争法に違反したとして制裁金を課すことを決定した。
これに対し同社とMTPDは,欧州委員会による事実認定や法令の適用に疑義があるとして欧州普通裁判所に提訴。2015年9月,同裁判所は欧州委員会の課した制裁金を減額する判決を出した。この判決による制裁金は以下のとおり。
-パナソニック単独 1億2,886万6,000ユーロ
-パナソニック及びMTPDの連帯責任 7,530万ユーロ
-パナソニック,MTPD及び東芝の連帯責任 8,282万6,000ユーロ
その後パナソニックは,同社単独に対する制裁金に関して欧州司法裁判所へ上告していたが,今回の上告棄却決定により確定した制裁金を支払う。
パナソニックとMTPDは,連帯責任の制裁金6,274万7,334ユーロを既に支払っているほか,パナソニックは前年度末までに見積もり可能な部分について引当計上を行なっており,2017年3月期連結業績予想への重要な影響はない見込みだとしている。
同社グループでは,この事態を真摯に受け止め,引き続き競争法を含むすべての法令順守を徹底していくとしている。なお,同社とMTPDは既にブラウン管事業から撤退している。