宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究チームは,小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワから回収し,地球に持ち帰った微粒子の表面模様を分析した結果,微粒子表面に40億年以上昔から現在に至るまでの歴史が刻まれていることを発見した(ニュースリリース)。
今回分析した微粒子は,数10㎛の大きさしかなく,さらに,その微粒子表面の模様は㎚程度の大きさしかない。研究チームはX線マイクロトモグラフィー(X線CT)や走査型電子顕微鏡を用いて,微粒子表面の微細構造を詳細に観察した。
その結果,これまでは一種類しかないと考えられていた表面模様のパターンは,少なくとも4種類あることがわかった。その中の一つは,イトカワ母天体に由来するもの。
小惑星イトカワは誕生時から現在の形状だったのではない。40億年以上前に形成された時には現在の約40倍程度の大きさをもつ天体(イトカワ母天体)で,それが一度破壊され,その破片が集まった天体が小惑星イトカワだと考えられている。
今回分析した微粒子のなかには,イトカワ母天体の時,つまり40億年以上前に作られたと考えられる模様が残っていた。その他にも,太陽風に長時間さらされたために形成したとみられる模様や,粒子同士がこすれて摩耗した模様なども見つかった。
これらの模様は100万年から1000年のタイムスケールで形成する。すなわち,微粒子表面を観察することで,小惑星の歴史をたどることが可能になる。
この研究の手法は貴重な微粒子を傷つけることなく,多くの情報を得られることから今後,地球外物質を分析する際に最初に手がける必須の分析手法となるとしている。
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