島津製作所,新興国向け原子吸光分光光度計を発売

島津製作所は,東南アジアやロシア,メキシコ,ブラジルなどを中心とする新興国市場へ,原子吸光分光光度計の新製品「AA-6880F」を投入する(ニュースリリース)。

原子吸光分光光度計(AA)は,原子が固有の波長の光を吸収する性質を利用し,液体に含まれる微量な金属成分の元素濃度を測定する装置。飲料水や工場排水の分析,土壌・環境水の成分分析,食品・医薬品に含まれる元素不純物の分析などに利用されている。

同社は,AA以外にも誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP-AES)や誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)などの元素分析装置を製造・販売しているが,元素分析に対する需要が拡大する東南アジアなどでは,導入コストやランニングコスト,処理できる検体数,夾雑成分による干渉の少なさから,最初に導入する元素分析装置としてAAが選択されるケースが増えているという。

同社では,このようなニーズにより,インドやインドネシアなどを中心に原子吸光分光光度計の市場が拡大していると見ており,中国開発センターで現地開発した感度とコストパフォーマンスを両立する原子吸光分光光度計「AA-6880F」を現地で販売する。

この製品の販売を通じ,AA全機種の今年度の販売台数を全世界合計で約20%増加させることを目指す。同社のAAのシェアは,国内台数ベースで約30%を有する一方,世界シェアは10%以下に留まると予測。今後も,新製品や有効なアプリケーションの開発を進め,2019年度にAA全機種で15%を超える世界シェアの獲得を計画する。

光学系の新設計により,ミドルクラスの装置でありながら高い感度を実現している。また,装置本体のガス制御部には,配管の外部だけでなく内部のガス漏れも検知する独自の自動ガス漏れ検査機能を導入するなど,安全性に配慮した設計となっている。また,ソフトウェアには,分析結果の妥当性を自動で判定する機能も標準搭載しており,装置の使用経験が少ないユーザーにも最適だとしている