ソニーのCMOS,発明賞「内閣総理大臣賞」受賞

ソニーグループの半導体事業を担うソニーセミコンダクタソリューションズの社員が,発明協会主催の平成28年度全国発明表彰において,積層型多機能CMOSイメージセンサー構造の発明により「内閣総理大臣賞」を受賞した(ニュースリリース)。

「内閣総理大臣賞」は,科学技術の振興,産業経済の発展に大きく貢献している発明で,恩賜発明賞に次いで優秀と認められる賞。

今回の受賞は,積層型CMOSイメージセンサー構造に関する発明が,裏面照射型CMOSイメージセンサーのさらなる多機能化を促進する技術の確立と発展に貢献した業績が高く評価されたもの。

発明では,従来の裏面照射型CMOSイメージセンサーの支持基板の代わりに信号処理回路が形成されたチップを用い,その上に裏面照射型画素が形成された画素部分を重ね合わせた積層構造のCMOSイメージセンサー構造とその製造方法を示している。

この積層構造により,小さなチップサイズで大規模な回路の搭載が可能となることに加え,独立形成が可能となった画素部分と回路部分は,それぞれに特化した製造プロセスを採用できるため,小型化・高画質化・高機能化を同時に実現できる。さらに,回路が形成されたチップに先端プロセスを採用することで,信号処理の高速化・低消費電力化を図ることができる。

現在,この積層型CMOSイメージセンサーは,小型化・高性能化が求められるスマートフォンなどの携帯端末や,多くのデジタルカメラで採用されている。今後もさらなる性能の向上により,イメージセンサーをはじめとするさまざまなセンシングデバイス(半導体素子)の高機能および多機能化を促進する基本技術として,応用されることが期待されている。

ソニーでは現在,最新のデジタルスチルカメラにおいても積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS™」(エクスモア アールエス)を搭載している。1.0型のセンサーを搭載したデジタルスチルカメラ「RX10 III」では,高画質撮影が可能なことに加え,センサーの特長でもある高速処理性能により,最高1/32000秒の高速撮影やスーパースローモーション機能,高解像度な4K動画の撮影などを可能にするなど,新しい映像体験を提供している。