DNP,OLED蒸着マスクを増産へ


大日本印刷(DNP)は,有機ELディスプレーの製造に使用する蒸着マスク(メタルマスク)の生産ラインを広島県三原工場に増設し,生産能力を3倍に引き上げると発表した(ニュースリリース)。

市場の拡大に合わせ,2020年までに60億円の設備投資を継続的に実施し,生産能力の拡大に加えて高精細化にも対応することで,スマートフォン向けの同製品で世界シェアを持つ強みを,さらに拡大したい考え。

有機ELディスプレーは,薄型化が可能で,曲げたり丸めたりという動作にも強く,コントラストにも優れていることから,近年テレビやスマートフォンをはじめとして採用が増え,その画像表示部分である有機ELパネルの市場規模は,2020年には2015年の約3倍近い6億8200万枚にまで拡大すると見込まれているという(米調査会社IHSテクノロジー調べ)。

有機ELディスプレーは,光の3原色であるRGBの有機材料に電気を流して発光させることで,鮮やかなフルカラーの映像を映し出す。有機材料をガラスやプラスチックなどの基板に付着させるには,薄い金属板に微細な穴を精密に配置したメタルマスクを利用し,真空状態の設備の中で,有機材料を蒸発させて吹き付ける方法が主流になっている。

同社は,独自のフォトリソグラフィ技術やエッチング技術を活かし,2001年にメタルマスクの開発を開始し,現在ではスマートフォン向けを中心に高いシェアを獲得している。今後,市場の急速な拡大の需要に対応すべく,2020年まで継続的に60億円を投資して生産能力を3倍に増強する。

メタルマスクには高い精度が求められるが,同社は独自の高度なフォトリソグラフィ技術やエッチング技術を活かしてメタルマスクを製造しており,500ppi以上の高解像度(WQHD相当)にも対応するとしている。

同社は,有機ELパネルメーカーに対し高精度なメタルマスクを安定供給していくとともに,1000ppi以上の解像度にも対応した製品の開発を進めている。市場の拡大に対して,適切な生産能力を整えて安定的に製品を供給することで,2020年に300億円の売上げを目指す。