第8回レーザー学会産業賞が決まる

今年のレーザー学会産業賞が決定した。授賞式はOPIE’16会期中の5 月19日(木)11:00より,パシフィコ横浜展示ホール内特設会場で開催する。産業賞は技術と市場実績の優れた「優秀賞」,市場の開拓と将来性が期待される「奨励賞」,優れた基礎的技術を有し,あるいは累積的貢献をした「貢献賞」の3つの賞で構成されている。

今回,優秀賞には島津製作所と浜松ホトニクスが,奨励賞にはスペクトロニクス,ワイ・イーデータ,三菱エンジニアリング/三菱電機が,貢献賞には岡本光学加工所と日本車輌製造が受賞した。受賞社には賞状と副賞が贈られるほか,産業賞ロゴマークを約2年間使用することができる。以下に,今回受賞した製品・技術の概要を紹介する。

【優秀賞】
『QPM 型波長変換デバイス:PPMgSLT』
㈱島津製作所
MgOをドープした定比組成のタンタル酸リチウム(MgO:SLT)基板に周期分極反転構造を形成した擬似位相整合型波長変換デバイス。高出力レーザーの波長変換を可能にし,広い開口範囲でも均一で効率の良い波長変換を可能にする。

出展ブースNo.J-33,G-25

 

 

『高精度分光計測用DFB 型カスケードレーザー:L12000 シリーズ』
浜松ホトニクス㈱
SPC構造を採用し,分布帰還型構造(DFB)によってシングルモード発振する量子カスケードレーザー。CWからパルス発振までL12000 シリーズとして波長別に複数がラインナップされている。量子カスケードレーザーの普及に大きく貢献しているもので,分光分析用途で納入実績が高い。

出展ブースNo.M-10

 

【奨励賞】
『高出力266 nmなどピコ秒ハイブリッドレーザー:LDHシリーズ』
スペクトロニクス㈱
光ファイバー増幅とバルク増幅を融合させた国産ハイブリッドレーザー。長寿命化を実現した波長変換結晶を採用することで深紫外波長領域における短パルス光も達成している。開発したレーザーは微細加工用途での応用を想定している。

 

『ハイパワーレーザー溶接用ガルバノヘッドユニット』
㈱ワイ・イー・データ
kW級の高出力レーザー対応のスキャナーヘッドユニット。装置や多関節ロボットに搭載し,X-Yステージあるいはロボットとの連動制御(オンザフライ制御)が可能。オンザフライ制御は自動車生産分野における要求が高い。スキャナーヘッドユニットは2Dタイプと3Dタイ
プがある。

出展ブースNo.L-31

 

『手術顕微鏡用レーザー照明装置』
三菱電機エンジニアリング㈱/ 三菱電機㈱
従来の白色ランプと比べて20 倍以上となる4 万時間の長寿命化を実現した手術顕微鏡用レーザー照明装置。波長の異なる4 つのレーザー光源を1 本の光ファイバーで出力する。光出力は一定になるよう制御されているため,一つの発光部が消灯しても,他の発光部の出力を上げることで一定に維持できる。

【貢献賞】
『イオンアシスト成膜による高耐力・高精度大型光学素子』
㈲岡本光学加工所
レーザー核融合向け高強度レーザー装置のパルス圧縮回折格子:910×420 mmの大型石英基板をλ /10 に研磨し,新開発の低応力・高耐力誘電体多層膜を成膜。膜上に走査干渉露光法により1740 grooves/mmの溝加工を施し,世界最大級のパル圧縮回折格子を製作。
出展ブースNo.E-10

『ファイバーレーザー微細加工機:NisshaHS1250シリーズ/ NisshaHSCシリーズ/ NisshaHCシリーズ』
日本車両製造㈱
精密板金加工用レーザー装置とプリント基板向けメタルマスク加工用レーザー装置。NisshaHS1250シリーズの出力は100 W,加工範囲は860×605 mmとなっている。
NisshaHSCシリーズの出力は標準で空冷50 W,加工能力はSMTの標準的なパターンの場合,時間当たり2万穴が可能。NisshaHCシリーズは出力が400 Wで,25 μmという切断幅を実現できる。