ノキアは,ベル研究所が開発した「Photonic Service Engine2(PSE2)」と呼ぶ,デジタルコヒーレント処理ASICチップを搭載した500G DWDM Muxponder「D5X500」を製品化したと発表した。
PCやスマートフォン,タブレット端末の普及によるブロードバンドサービス利用者の増加,企業におけるクラウドコンピューティングの導入,さらにはM2M(Machine to Machine)やIoT(Internet of Things)を利用するアプリケーションの登場によって,通信トラフィックは急速に増加している。
このようなトラフィックの急増とともに,アクセス・メトロネットワークとコアネットワークで伝送の大容量化が図られてきたが,2016年にはアクセス・メトロネットワーク側(クライアント側)において,いよいよ100Gサービス時代へと突入する。このため,コアネットワーク側(ライン側)では200Gの波長多重化が求められる。
しかし,課題もある。ライン側において伝送容量が増加すると,長距離伝送が難しいという,伝送容量と伝送距離にトレードオフがあることだ。今回開発したPSE2ではこの問題を解消するという。これにより,アクセス・メトロネットワークに対する100G伝送の導入を可能にする。
これを搭載したD5X500は同社の光波長多重伝送装置「1830PSS/16/32」に対応するラインカードで,ライン側に2Chシグナルポートを,また5Port×100G CFP-4クライアント・インターフェースを備えている。最大の特長は7つの変調方式をサポートするため,bitあたりのコストを削減することができる。
サポートする変調方式は50G BPSK(2Ch),100G SP-QPSK(2Ch),100G QPSK(2Ch),200G 8QAM(2Ch),200G 16QAM(2Ch),250G 16QAM(2Ch),400G 64QAM(1Ch)。
今後は地域伝送・長距離伝送向けの4×100G Uplink「4UC400」,400G(24スロット)に拡張可能な光波長多重伝送装置「1830PSS-24x」を順次リリースする。
ノキアは2016年1月にアルカテル・ルーセントを買収。統合後はLTE市場においてシェア29%,固定ブロードバンド市場において35%とトップに位置。IPルーティング市場はCiscoに次いで2位となっている。2015年の売上高は266億ユーロで,このうち,研究開発費が45億ユーロとなっている。