伊藤忠,太陽電池ベンチャーに出資


伊藤忠商事は三菱UFJ信託銀行と共に,人工水晶を用いた太陽電池製造ベンチャーであるinQs(インクス)の第三者割当増資を引受けることに合意した(ニュースリリース)。これにより伊藤忠商事は,親会社に次ぐ同社の第二位株主となる。

インクスは現在主流のポリシリコンを原料とする太陽電池とは異なり,人工水晶を原料に用いる事で完全無色透明型と極低照度発電型の二種類の新型太陽電池の開発,製造に世界で初めて成功し,将来的に電力供給システムの一部を変える可能性を秘めた技術として世界中から注目を集めている。本年2月には日本のベンチャー表彰制度として最も権威のあるJapan Venture Award(JVA)のJVA2016技術イノベート特別賞を受賞している。

完全無色透明型は,ガラスの代わりに使用することにより,常時太陽光を効率的に電気エネルギーに転換する。これにより,エネルギーの完全自給自足を目指すオフィスビル/住宅/工場の窓,壁,天井,自動車への採用が検討されている。

極低照度発電型は,暗い室内においても発電が可能な為,スマートフォンやリモコンに組み込むことにより有線による充電や電池が将来的には不要になる事が見込まれる。

なかでも21世紀の産業革命と言われるIoT分野の中核デバイスの一つとして飛躍的な導入拡大が見込まれる各種センサーシステムは,電源確保の為の配線工事が導入コストの半分以上を占めている現状から,工期短縮,導入コスト削減が課題となっており,既存電源との配線を必要としない独立電源としての期待が高まっている。

インクスの製品は現時点において世界で唯一,システム稼働に必要十分な電力を得られる画期的な独立電源として,既に大手企業複数社と採用に向けた商談が進んでいるという。