NECは,4K映像のリアルタイム処理を実現するコーデックの新製品として,エンコーダー「VC-9700」並びにデコーダー「VD-9700」を2016年7月に発売する(ニュースリリース)。
新製品は,高い圧縮効率を実現する映像符号化方式「H.265/HEVC」を採用し,大容量である4K映像データを約500分の1まで圧縮処理可能。また映像の符号化には高画質アルゴリズムを適用し,色域や輝度の幅をそれぞれ拡大する技術であるBT.2020やHDRに対応する。これらにより放送事業者は,映像伝送ネットワークへの投資を抑えるとともに,高画質で臨場感あふれる高精細映像を実現できる。
これまで培ってきた超低遅延技術を活用することにより,約99ミリ秒という超低遅延で4K映像の圧縮・伸長処理を実現した。また,音声データについては,低遅延圧縮を実現するMPEG-4 AAC ELD規格に対応することで,従来製品よりも音声圧縮に割り当てるビットレートを削減し,映像圧縮により多くのビットレートを割り当てることが可能。
これらにより,スポーツイベントなど遠隔地からの生中継や,送られてくる映像を見ながら可動式カメラを遠隔制御する場合など,リアルタイム性が求められるシーンにおいても,高品質な映像伝送を実現する。
さらに,1Uハーフラック(幅210mm×奥行400mm×高さ44mm)という小型サイズのため,可搬性に優れる。また,4K映像に加え,HD/SD映像の圧縮・伸長処理も可能。映像符号化方式として,エンコーダーは「H.264」に対応(オプション機能)し,デコーダーは「H.264」と「MPEG-2」にも対応する。これにより,既存システムとの互換性を確保した。
さらに,映像や音声信号を暗号化する「スクランブル方式」や,ネットワークでの安定したデータ伝送を実現する「誤り訂正方式」に対応し,衛星やIPネットワークによる伝送が可能。