NIFS,平成27年度の研究成果を発表

自然科学研究機構 核融合科学研究所では,平成27年度の研究を終了し,3つに代表される研究成果を上げ,核融合研究を更に前進させることに成功した(ニュースリリース)。

大型ヘリカル装置(LHD)では,平成28年度末に,これまでの軽水素ガスを用いた実験から,プラズマの高性能化が見込まれる重水素ガスを用いた実験に移行する計画。

これに先立ち,軽水素よりも質量が大きいヘリウムを用いた実験を行なった結果,ヘリウムガスの導入量の増加に伴ってプラズマのイオン温度が有意に上昇することが分かった。この結果から,軽水素よりも質量が大きい重水素を用いた実験に移行することにより,プラズマが更に高性能化することが期待される。

また,没入型バーチャルリアリティ装置を用いて,LHDの実験で観測されたダスト粒子(プラズマに混入する微粒子)の動きのデータと計算で求めた磁力線のデータを融合して,これらを3次元仮想空間に一緒に表示することに成功した。

これにより,磁力線の影響を強く受けるダスト粒子の軌道と磁力線の構造を,観測者自身が仮想空間に入って詳しく観察することが可能になり,ダスト粒子の複雑な振る舞いをより明確かつ容易に解析できるようになった。

さらに,これまで技術的に困難とされていた中間層を使わない方法により,タングステンと銅合金の新たな冶金接合(ロウ付け接合)法を確立し,強力で壊れにくい強靭な接合を実現した。

これにより,核融合炉で超高熱負荷を受け止める機器(ダイバータ)の設計研究が進展し,除熱性能の高い高性能なダイバータの試験体の製作に成功した。これにより,将来の核融合炉用のダイバータの高性能化を実現するとともに,核融合炉建設時の製造コストの削減に大きく貢献すると期待される。

これらの成果は,4月6日から8日まで核融合科学研究所で行なわれる「平成27年度研究プロジェクト成果報告会」において発表される。

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