2015年の半導体市場,前年比2.0%減のマイナス成長

米IHS社は,2015年世界半導体マーケットシェア(確定値)を発表した(ニュースリリース)。

2015年の半導体市場規模は3,473億ドルと前年比2.0%減のマイナス成長となり,2013年の前年比6.4%増,2014年の同8.3%増に対して成長鈍化の兆しがみえている。四半期別でみても,特に第1四半期(1-3月期)は前期比(10-12月期)8.9%減となり,これはリーマンショック(2008年第4四半期から2009年第1四半期)以来の大きな減少となった。

同社によれば,2015年のマイナス成長は,半導体市場の今後3年間の成長鈍化を予想させる始まりであり,特にワイアレス市場,データ・プロセッシング市場,コンスーマーエレクトロニクス市場が低調になるだろうとしている。2015-2020年の半導体売上高全体の年平均成長率(CAGR)は2.1%と予測する一方で,2020-2022年には新しいプロダクトに牽引された市場成長も期待されているとしている。

2015年の半導体業界は大きな合併や買収があった。世界首位を維持したインテルのプロセッサー売上は減少したものの,アルテラ買収で前年比2.9%増のプラス成長を維持した。クアルコムの売上は対前年比14.5%減で3位から4位に後退し,昨年のCSR買収がワイアレス市場の売上減を補完するには至らなかった。フリースケールを買収したNXPは7位に順位を上げ,トップ10にランクインした。

日本企業では東芝が8位(昨年7位),ソニーが16位(同17位),ロームが25位(同25位)となっている。

トップ10以下では,インターナショナル・レクティファイアを買収したインフィニオン・テクノロジが12位にランクインした。2016年上半期迄に買収完了を予定しているサプライヤもあり,ランキングの変動は続く見込みだとしている。アバゴ・テクロノジーは世界9位のブロードコム買収に向けて交渉を続けており,この両社を合算した売上高は2015年で5位に相当する規模になる。オン・セミコンダクタによるフェアチャイルドの買収も,完了すればランキングが2つ上昇するとしている。

2014年は広いセクターで成長を実現したが,2015年はデータ・プロセッシング市場,有線通信市場,コンシューマーアプリケーション市場の売上高が減少し,オートモーディブ市場,産業向けアプリケーション市場はそれぞれ1%未満の増加,ワイアレス通信市場は3%増加となった。

地域別でみると,全地域で半導体売上高が減少している。同社がカバーしている7つの半導体主要セグメント(Memory integrated circuits(ICs),Microcomponents,Logic ICs,Analog ICs,Discrete components,Optical components and Sensors)も対前年比で全て減少した。更に同社がカバーする128のデバイスのうち89品種がマイナス成長で,この89品種の売上高は2015年の全半導体売上の77%を占めている。

年間10億ドル以上の売上で対前年比5%以上成長したのは,10品種のみだった。半導体全体がマイナス成長であった反面,ワイアレスコミュニケーション向けASICs及びAnalog ASICsは共に対前年比30%以上成長し,RFSST(小信号トランジスタ),有線向けASICs,ワイアレス向けASSPsは対前年比10-20%成長した。