大日本印刷（DNP）は，独自の化学蒸着（CVD）技術を応用し，フレキシブルな有機太陽電池や有機ELディスプレーなどの産業用途向けに，バリア性の高い透明ハイバリアフィルムを開発した（ニュースリリース）。
このフィルムは，1日の1m2あたりの水蒸気透過率が0.0004g（10-4レベル）と，以前開発したハイバリアフィルムの0.005g（10-3レベル）と比較して10分の1以下の高い水蒸気バリア性を実現した。
さらに透明性が高く，無色に近いため，フレキシブルな有機太陽電池や有機ELディスプレーなど，ガラスの使用が難しくバリア性が必要な製品への利用に適しているとしている。
同社は1998年より，透明性の高いバリアフィルム「DNP透明蒸着フィルム（IB：Innovative Barrierフィルム）」の量産を開始し，これまでに食品包装や輸液バッグなどの幅広い用途に展開してきた。
一方，フレキシブルな有機太陽電池や有機ELディスプレーなどの産業用途でも，ガラスの代わりに透明ハイバリアフィルムを使用したいとの要望があったが，特別な製造装置や技術が必要であり，生産可能なフィルムの幅が狭いことなど生産性が低いことから価格が高いといった課題があった。
今回DNPは，IBフィルム等で培った量産技術を活かし，既存の透明バリアフィルムの製造設備と量産技術を応用することで，生産性を向上させた。同社は「DNP透明蒸着フィルム（IBフィルム）」の産業用途での展開に注力し，2020年に150億円/年の売上を目指すとしている。
