富士キメラ総研は,世界的に普及が期待される4K・8Kの高精細動画像対応に向け,開発が進む関連機器/システム,主要デバイス,有望業界/用途を調査し,その結果を報告書「4K・8Kビジネス/市場の全貌 2016」にまとめた(ニュースリリース)。
この報告書では,表示機器10品目,入力/撮像機器6品目,記録/再生/その他機器6品目,キーデバイス10品目の市場動向に加え,有望業界/用途7分野における動画像利活用状況やニーズ分析,市場予測を行なった。
世界市場では,欧米,日本,中国などが4K・8K対応機器の主戦場となっており,さまざまな機器が4K対応になっている。欧米,アジア各国では,2014年より「UHD放送」の実証実験や試験放送が相次いで行なわれており,徐々に民間放送事業者による実用サービスが開始されているが,国策として4K・8K放送に対し,積極的に取り組んでいるのは,日本と韓国のみ。
韓国は,他国に先駆けて2014年にIPTV/CATVによる4Kサービスの商用化を,地上波においても試験放送やライブ中継を開始している。2018年冬のスポーツイベントに向け2017年に放送を開始し,2021年までに全国サービス化する予定。8K対応機器に関しては日本,韓国など限られた地域が主体となっていくとみられ,2018冬年のスポーツイベント,2020年夏のスポーツイベントに向けて2018年から普及が進むことで,技術の向上が予想されるといている。
表示機器では,4K化が順調に進んでいる。短期的には特にTVが4K化をけん引するとみる。2016年以降はホーム/ビジネスプロジェクターや放送局用モニターの4K化が進み,8Kは放送局用モニターにおいて対応機器の比率が高まると予想する。
入力/撮像機器では,業務用ビデオカメラ,デジタルビデオカメラ,ドローン,外科内視鏡で4K化が先行している。8K化は,放送環境の整備に伴い業務用ビデオカメラが先行すると予想する。
記録/再生/その他機器では,民生用BDレコーダーにおいて徐々に4K化が進むとみる。据置型ゲーム機は,2018年に4K対応機器が主流になり,2025年には8K対応機器が主流になると予想する。
国内市場では,2015年にTV,スマートフォン,ノートPCなどが4K化をけん引した。4K対応機器の普及とともに4Kコンテンツも徐々に増加していくとみる。さらに医療機関,セキュリティ用途での導入も増えるとみる。
大型ディスプレイは,LCD,OLEDともに4K化が進むが,特にOLEDはハイエンドTV向けで4K化が進み,LCDは8K化も進むとみる。中小型ディスプレイは,LCDにおいて4K対応機器比率が拡大し,OLEDについては2017年頃にハイエンドスマートフォンでの採用が増加するとみる。QDコンポーネントは,4K以上のTVが主な用途であり,4K・8K-TVの普及に伴い市場が拡大するとみる。