古河電気工業は,東海大学医学部と共同で,赤痢アメーバ症向けの抗体検査試薬の開発に成功した(ニュースリリース)。今回の開発により,赤痢アメーバ症検査の大幅な迅速・簡素化,高感度化を実現し,医療機関での導入負荷軽減等に貢献するとしている。
赤痢アメーバ症は,我が国で発生する寄生虫症の中で最も重要な疾患の一つであり,五類感染症としての報告数は年間1000例を超える。直接虫体を検出することが困難な場合も多く,他種との鑑別も必要となる。この確定診断のためには血清抗体や糞便中抗原を検出することが有用だが,現時点で利用できる方法は限られているため,迅速で簡便に実施でき,かつ高感度な検査法の確立が求められていた。
同社は東海大学医学部と共同で,同社が開発した蛍光シリカナノ粒子(Quartz Dot®)技術を赤痢アメーバ症検査に応用した簡易迅速抗体検出試薬「蛍光イムノクロマト検査薬」の開発に成功した。これにより,従来3時間~数日かかる検査時間を10~20分と大幅短縮できること,さらに既存の検査手法と同等以上の高感度化を実現することが出来たという。
開発品は,Quartz Dot®とテストストリップから構成される一般的なイムノクロマト検査キットと同様のデバイス形態。検査方法は,被検液(血清)とQuartz Dot®とを混合させて,その混合液をテストストリップの端部に滴下し,テストストリップ上で生じた蛍光発光を小型軽量な蛍光測定器で測定することで検出の有無を定量判定する。
今回の開発では,大塚電子で開発された蛍光イムノクロマトリーダー「DiaScanα」を使用してシステム全体を最適化した。