玉川大,車載量子レーダーカメラの理論を開発

玉川大学の研究グループは,DARPA(米国国防高等研究計画局)で開発された量子計測の原理を自動車用の量子レーダーカメラとして転用する理論を開発した(ニュースリリース)。

インテリジェント・ドライブに代表される半自動運転技術はすでに実用化され,次世代の自動運転の実現に向け,急ピッチで研究開発が進められている。これらの技術の要となるセンサーは,これまでの能力をはるかに超える究極的な性能を持つことが期待されている。現在,ミリ波レーダー,高感度CCDカメラ,赤外線照射カメラ,ライダーなどの既存の技術をさらに高めることによって,その目的を達成しようとしている。

ミリ波レーダーは悪天候下でも,ターゲットの存在を検知する能力を有するが,ターゲットの形状を認識することが難しい。超高感度CCDで構成されるステレオカメラは明確なターゲットの形状を認識することができるが,悪天候下では能力が急激に劣化する。

ライダーはレーザービームをスキャンして反射波の点群データを得て,自動車の周辺の3D地図を作成できるため,自車の位置を正確に捕捉するシステムに応用される。さらに多数のレーザーを用いて,自車周辺のイメージングができる。しかし,悪天候下ではカメラと同様に性能が劣化する。

このように既存の原理によるセンサー技術の延長線上での開発は,一般の自動運転を目的とするシステムとしては十分な安全性を確保することが難しく,新原理による全天候型のカメラ技術の開発が急務となっている。

DARPAで開発された新しい量子計測原理(Quantum Methodology/Sensor)によって反射波の2次情報を利用して画像化が可能となった。研究グループはこの特徴を現実的な擾乱の環境下での自動運転において実現する方法を研究した結果,約100メートル程度のセンサー領域をカバーするシステムが実現可能であることを理論的に確認した。

既存技術では,濃霧などの環境の悪化の際にターゲットの形状を補足するのが困難だが,新技術では可能となり,自動運転時に悪天候になっても安全性の確保を格段に向上させることが可能となるとしている。

研究グループでは,すでに日欧の自動車部品メーカーなどに事前情報を提供しているという。車内の光ネットワーク化と連携してさらに高性能化が期待されるとしている。また,広範な応用が可能になるため,同大ではこのシステムの実現に向け,量子光源やシステムを開発するベンチャー企業の設立を計画している。

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