群大ら,X線による燃焼の非接触測定法を開発

群馬大学,岡山大学,高輝度光科学研究センターは,大型放射光施設SPring-8の高輝度・高エネルギーの放射光X線を用いて火炎の温度・化学反応を測定する新手法の開発に成功した(ニュースリリース)。

コンプトン散乱X線の強度は物質の電子密度に比例する。研究グループは,SPring-8・ビームライ ンBL08Wの高輝度・高エネルギーX線を火炎に照射し,火炎からのコンプトン散乱X線の強度分布を精密に測定した。

これを熱電対で測定した温度分布と比較したところ,火炎の温度分布が測定されていることを見出した。非接触であるため電線部分からの熱の流入の影響等がなく,熱電対の測定よりも精密な温度測定ができた。

さらに,火炎の各部分におけるコンプトン散乱X線スペクトルを解析した結果,燃焼反応は火炎境界の発光部分で劇的進行し,境界外部の高温部分にOHラディカルや水素原子が多く存在することが新たにわかった。

この手法は,高い物質透過能を有する高エネルギーX線を用いた分析手法であるため,エンジンなどの内燃機関の温度分布,化学反応を非接触で測定することが可能だという。この計測技術を適用することで,高効率を目指した革新的エンジン技術の進展に資することが期待される。

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