コヒレント,産業用グリーンフェムトレーザーを発売

米コヒレントは,広範囲な材料に高度な微細加工を実現すべく,産業用フェムト秒発振レーザー「Monaco」シリーズのグリーン発振モデルをリリースした(ニュースリリース)。

新モデル「Monaco 517」は,ファイバーベースのレーザーで,波長517nmで出力20Wのパフォーマンスを提供し,ポリマーなどの難加工材料に対しても精密な加工を実現する高いピーク強度を得るため,400fs以下のパルス幅と20µJの高パルスエネルギーを提供する。また,MHzレベルのパルス繰返し周波数により高いスループットも可能にする。

さらに,装置搭載の簡便さを考え,635mm×340mmx167mmというコンパクトサイズのレーザヘッド設計となっている。なお,堅牢な構造により,ライフタイムを通して最適なアライメントを維持するため,OEMユーザーにとっても大きな導入メリットとなる。

新製品は,マイクロエレクトロニクスやディスプレイ製造などの分野におけるマテリアルプロセッシングで,主に3つのアドバンテージを提供する。まず1つ目は,長い波長に比べてアブレーション閾値が低いため,より熱影響の少ない加工が可能となり,より広範囲の材料,また材料の薄さに対応することが可能となる。

そして2つ目に,短波長はより小さい集光スポットが得られるため,さらに微細な加工を可能とする。3つ目に,半導体などを含む多くの材料において,グリーンの波長は吸収特性に優れているため,加工効率や加工深度のコントロールなどのメリットがある。

このモデルは,半導体,フラットパネルディスプレイ,太陽電池,マイクロエレクトロニクス製造などの分野における微細加工に理想的で,金属・非金属の薄膜や金属箔の加工,また導電性酸化物や半導体のスクライブに最適。さらに,多様な材料に対応できるので,ガラスや金属のような複合材料において,多層構造への最適なドリリングやカッティング,パターニングなどを実現できるとしている。

このシリーズは,レーザーのパフォーマンスと信頼性に対する顧客ニーズを再認識するプロジェクト”The Industrial Revolution in Ultrafast Science”のもと開発された。同社では,製品の設計段階からエンジニアリング,製造段階の工程において厳密で多角的なスクリーニング法である高加速寿命試験(HALT)及び加速ストレス性能試験(HASS)を採用しており,用途に関わらず,信頼性やパフォーマンスを得ることができるとしている。