独SCHOTT AGは,第一世代よりも性能が大幅に改良された感光性ガラス,「FOTURAN® IIガラスウエハー」を発表した(製品ページ)。
新製品は感光性と均一性に優れ,高アスペクト比の加工を実現する。このガラス基板を使用することで,無線周波数(RF)部品や微小電気機械システム(MEMS)メーカーは,半導体やバイオテクノロジー用の非常に微細な構造の基板を構成することが可能になる。
同社の「FOTURAN®」ガラスは,通常のフォトレジストを使わずに,微細な構造物を加工できるガラス基板として知られており,マイクロシステム技術,半導体,通信,RF部品,マイクロ流体,マイクロオプティクスやMEMSセンサーなど,多岐にわたる分野で30年以上使われている。
新製品のガラス基板は,高周波RF部品のインダクターの小型化に貢献し,高いQ値(周期的外力に対する共振の鋭さ)と自己共振周波数(SRF)を実現するという。
バイオテクノロジー分野では,マイクロ流体が,医療診断,生命科学研究,ドラッグデリバリーや医薬品合成など,さまざまな領域で新たな技術開発を促進する主要なツールとなりつつある。この領域で新製品は,洗浄が容易で,繰り返し利用することができ,高い透過率をもつマイクロプレートを製造することを可能にする。
また,シリコンセンサーでは実現が難しかった,反応が非常に早く,優れた化学的安定性を有する熱質量の小さい流量センサーを設計することが可能になる。さらに,半導体チップや半導体パッケージングプロセスに適用することもできる。
新製品は改良された製造プロセスによって製造されるため,ウエハー全体に優れた感光性と,高い光学特性が均一に再現されている。そのため,マイクロレベルの非常に微細な構造の基板を構成し,かつ,これまでにないなアスペクト比を実現する。そして,半導体から医療機器までさまざまな機器の高出力化を実現し,性能を犠牲にすることなく小型化にも貢献するという。
この製品は,6インチ,または8インチのウエハーのほか,200×200ミリメートルまでの正方形基板(0.5ミリメートルから1ミリメートル厚)で提供している。ウエハーは,標準的なリソグラフィ装置を使用したUV露光(フォトレジスト不要),熱処理とエッチングの三段階で構造化されている。さらに高い温度安定性が要求される場合には,ガラスセラミックにすることも可能。