NTTら,透過型ディスプレイによるおもてなしを検証

日本電信電話(NTT)とパナソニックは,NTTが開発したデバイス機能仮想化技術と,パナソニックが試作した透過型ディスプレイを搭載したシンプルなポータブル端末を活用し,直感的な操作で情報取得可能な,おもてなしサービスの実現に向けた技術検証に着手した(ニュースリリース)。

2020年に向けて,今後,増加が見込まれる訪日外国人に対するおもてなしサービス実現のために,難しい操作を必要としない簡易な端末や,これを活用したサービスの需要が高まると考えられる。

このような背景のもと,世界中の人々へのおもてなしサービスを実現していくために,エッジコンピューティング構想に基づきNTTが開発した,端末での処理機能をエッジサーバで分散処理する「デバイス機能仮想化技術」と,パナソニックが試作した「透過型ディスプレイを搭載したシンプルなポータブル端末」を連携させる。

対象物をディスプレイに透過して見ながら,デバイス機能仮想化技術上で処理した対象物に関連する情報や映像などのコンテンツをディスプレイ上に同時表示可能な端末の受容性・有効性を検証するとともに,この端末の所要機能・性能や要素技術の改善と,フィールドでの利用検証を行なう。

パナソニックが開発した透過型ディスプレイ搭載ポータブル端末(試作機)は,対象物をディスプレイに透過して見ながら,搭載したカメラのシャッターボタンを押すことで,対象物に関連する情報をディスプレイ上に同時表示をするもの。これを実現するには透明度の高いディスプレイが必要になる。

従来の液晶ディスプレイは,カラーフィルターや偏向板により,透明度が低下するという課題があった。そこで,ディスプレイ部に高透過率であり画像が鮮明な無機ELデバイスを用い,発光材料の薄膜生成の改良とガラス基板配線の最適化を行なうことで,透明度を維持しながら無機EL現行品に比べて2倍の輝度を持つ高輝度,高透明度のデバイスを開発し,試作端末に搭載した。

また,業務用ディスプレイや堅牢パソコンの開発で培ったCAE技術(コンピュータ技術を活用して製品の設計,製造や工程設計の事前検討の支援を行なうこと)を活かし,処理系もシンプルな構成としたことで試作端末の小型化を実現した。

今回の両社の技術検証により,かざして情報が表示されるといった直感的操作を可能としたこの端末により,おもてなしサービスの実現を目指していくとしている。

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