パナソニック,0.01 lxでカラー撮像可能なイメージセンサーを開発

パナソニックは,受光部にアバランシェフォトダイオード(APD)を搭載したCMOSイメージセンサー(APD-CMOS)を開発した(ニュースリリース)。

従来のイメージセンサーでは,暗い場所での撮像時には光電変換される光電子はノイズレベル以下となり,月明かり(照度0.1ルクス)程度の撮像が限界だった。このため,補助光として近赤外光源を点灯させた撮像や光電子増倍管を用いた撮像が行なわれている。近赤外光源ではカラー撮像ができない,光電子増倍管には大きな電源が必要なためカメラが大型化するという欠点があった。

今回開発したイメージセンサーは,光電子を増倍することで高感度な撮像が可能となる。暗い場所でも露光時間を増加させることなく階調性の高いカラー撮像が実現できる。さらに,撮像時の明るさに応じて,APDに印加する電圧を変化させることで光電子の増倍を高速に制御し,昼間でも夜間でも,また明るい場所と暗い場所が混在するシーンでも撮像が可能。

この開発は以下の技術により実現した。

(1)光電変換部にアバランシェフォトダイオードと電荷蓄積部を搭載し,生成した色情報を含む光電子を増倍するとともに蓄積するAPD画素設計技術
(2)APDへの印加電圧を制御することにより1/1000秒で増倍を制御し,明暗の変化に追随する30fps動画撮像可能な感度可変技術

従来のCMOSイメージセンサーでは,光電変換により生成される光電子は,撮像時の明るさに比例する。このため,暗い場所では,発生する光電子が少なく,ノイズレベルに近くなり鮮明な撮像ができなかった。そこで,光電変換で生成された光電子を増倍させる領域を受光部に設け,増倍された多量の光電子を蓄積領域に蓄積するAPD-CMOSイメージセンサを開発した。これにより,暗い場所の少量の光電子を1万倍に増倍できる。

また,APDへの印加電圧を制御することにより,増倍制御を実現した。明るい場所では光電子をそのまま出力して,暗い場所では光電子を1万倍に増倍して出力する。明るさに応じて感度を可変し,星明かりと街灯が混在する明暗差の大きいシーンでも鮮明な撮像を実現できる。

同社ではこの技術について,広ダイナミックレンジのカラー撮像が必要な監視用カメラや,超高感度撮像が必要な産業用カメラ等への応用が期待されるとしている。

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