富士キメラ総研は,社会インフラでの採用拡大が予想されるカメラなどの光学機器,スマートフォンや車載向けを中心に高性能化が進む光学ユニットやデバイスの世界市場を調査し,その結果を報告書「2016 イメージング&センシング関連市場総調査」にまとめた(ニュースリリース)。
この報告書では,民生機器7品目,社会インフラ関連機器8品目,医療機器3品目,情報入出力機器4品目の光学機器計22品目,光学ユニット7品目,半導体デバイス・画像処理技術関連5品目,光学部品4品目,光学関連材料7品目,光学関連装置2品目の光学デバイス計25品目について市場を明らかにした。この調査では光学デバイスを注目市場としてフューチャーしている。
■小型カメラモジュール世界市場
モバイル機器やPC,ゲーム機,TVなどに組み込まれる小型カメラモジュールを対象とした。最大の需要はモバイル分野であり,タブレット端末やスマートウォッチ向けも注目されるが,スマートフォン向けが圧倒的に多い。2015年はスマートフォン向けの増加に加え,中国メーカーのスマートフォンで高画素化が進み単価が上昇したことで,市場は拡大したという。
スマートフォン向けの小型カメラモジュールでは,高画素化以外にも多機能化が加速しており,2013年頃より光学手ぶれ補正機能の搭載が本格化した。2014年よりデュアルカメラが登場し,多くのメーカーが開発を強化していることから,2016年以降デュアルカメラを搭載するスマートフォンの増加が予想されるとしている。
モジュールの小型化が求められる中でも,デュアルカメラにすることで高感度/高画質化をさらに進められるほか,1つのカメラモジュールでは行なえないリフォーカスや3Dなどの機能の付加が可能となり,スマートフォンカメラの大幅な機能向上が期待されるという。
■エリアイメージセンサー世界市場
イメージセンサーはデジタルカメラ機能を実現するための重要なデバイスであり,近年では画像センサーとしても認知されつつあり,センシング用途でも応用が広がっている。
モバイル分野の需要が市場をけん引しており,従来需要の中心であった一眼カメラ分野は縮小を予想する。また,高成長が期待されるのは,新興国での新規需要が予想される監視カメラ分野と,世界的に安全機能強化が進むことで搭載数増加が予想される車載カメラ分野だとする。
スマートフォンのメインカメラ向けのエリアイメージセンサーの画素数は,13Mpx(メガピクセル)が主流だが,2015年以降は16Mpx以上の構成比が高まるとみる。2015年には23Mpxのエリアイメージセンサーがスマートフォンで採用されており,今後も高画素化は進むとしている。
この他,2010年頃に投入されたBSI技術は既に標準的な仕様となり,2012年に発表された積層型もハイエンド製品では標準になりつつあるなど,エリアイメージセンサーの高性能化が進んでいる。また,ここ数年動きがみられなかったセルピッチの微細化については2016年にも1.0μm製品の投入が予想され,再び進展が期待されるとした。
■光学デバイス世界市場
光学ユニットは,市場の70%近くを占める小型カメラモジュールがけん引している。小型カメラモジュールはスマートフォン向けの増加と搭載カメラの高画素化,サブカメラの搭載率上昇などで拡大を続けており,今後もデュアルカメラの需要増加と共に拡大し,2019年時点でも高い構成比を維持するとみる。
また,小型カメラモジュール以上に伸びるのは,車載カメラモジュールであり,自動車需要の増加と自動車への搭載率上昇によって大きく拡大が予想され,かつ用途としても新たにセンシングの需要が期待されるという。一方で,投射レンズや光ピックアップ,EVFは縮小を予想する。
半導体デバイス・画像処理技術は,市場の70%以上を占めるエリアイメージセンサーがけん引する。市場構成比は低いが,TOFセンサーは従来のゲーム機向けに加え,2014年にスマートフォン向けが立ち上がったことで1,000億円を突破し,今後も家電や自動車向けが期待されるという。
光学部品は,光学レンズが市場の大半を占め,その中でもスマートフォン向けで使用されるプラスチックタイプが市場をけん引する。光学関連材料は,レンズ用樹脂材料が安定した拡大を続けるものの,市場構成比の高いセラミックパッケージがほぼ横ばいのほか,レンズ用コーティング材料などが使用量削減や主要アプリケーションの落ち込みにより縮小し,市場は微減を予想する。
光学関連装置は,光学薄膜成形装置,レンズ用測定器共に数量ベースでは増加するが,低価格化が進んでおり,市場は縮小を予想する。