九大ら,プラズマ中の突発的な揺らぎを解明

九州大学の研究グループは,核融合科学研究所の研究グループと共同で,核融合科学究所の大型ヘリカル装置(LHD)で発見された,閉じ込められたプラズマの中で発生する突発的な揺らぎの発生の機構を解明した(ニュースリリース)。

現在,核融合炉の実現を目指して,1億度以上の高温プラズマを効率よく発生させるための研究が世界中で行なわれている。閉じ込められたプラズマの中では時々,突然大きな揺らぎが発生し,プラズマが逃げだしてしまう現象が発生することがある。

このような現象は,核融合炉の性能を左右し機器にダメージを与える危険があり,回避することが重要な課題となっている。一方,宇宙プラズマにおいても似たような突発的現象が発生しており,太陽フレアの発生などがよく知られている。しかし,いずれの場合も原因はよく分かっていなかった。

LHDにおいて生成される,数千万度に及ぶ高温プラズマの内部で発生する現象を観測するために,高エネルギーの重イオンを用いる計測器(重イオンビームプローブ)が開発された。これを用いてプラズマ内部の揺らぎの計測を行なったところ,通常は安定で発生しないと考えられる揺らぎが,突発的に大きな振幅を伴って発生するという新しい現象を発見した。

研究グループは「亜臨界不安定性」という過程に着目し,この現象を説明するための新しい理論モデルを構築し,数値シミュレーションで確認を行なったところ,実験結果を再現することができた。

そのメカニズムを解明し,突発的発生の条件を明らかにすることに成功し,これまで知られていなかった突発的な揺らぎ発生機構の同定で,この突発現象の発生を予言する事が出来るという。

この研究により,プラズマ内の測地線音波にそのような不安定性が存在することを実証し,この現象の発生を予言する事に成功した。これらの成果は,今後,広く観察されている多くの突発現象の理解を進める上での指針を与えることになるとしている。

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