日機装は12月18日,同社の完全子会社である日機装技研(技研)が,台湾の台塑石化股份有限公司(Formosa Petrochemical Corporation : FPCC)と紫外線LED事業における戦略的業務提携について,また,その中核を担う深紫外線LEDの製造販売をグローバルに行なう合弁会社を設立することについて基本合意に関する覚書を締結することを決議した(ニュースリリース)。
深紫外線LEDは,水の殺菌や空気の殺菌・消臭、医療用途での殺菌・治療、表面改質や樹脂/インク硬化用の光源,分析・計測機器向けの光源などとして,非常に広範な用途での使用が期待されている。
深紫外線LEDの小型化,高効率化,長寿命化,低コスト化の進展により,環境に配慮した器具・装置に対するグローバルでの要請や,新興国での生活水準の向上に伴う用途への展開を図ることで,既存の水銀ランプの代替のみならず,水銀ランプでは満たすことができなかったグローバルでの大きな需要伸長が見込まれている。
これまで,同社及び技研は新規事業として深紫外線LEDの研究開発及び用途開発を行ない,平成27年5月より石川県白山市のLED専用工場にて量産出荷を開始した。更に,同年10月には,世界最高出力(50mW)の深紫外線LEDの量産化,及び,同LEDを用いた小型・低消費電力の水殺菌モジュールの開発に成功している。
今後,紫外線LEDの事業拡大が期待されることから,深紫外線LEDのチップ,パッケージ,モジュールをグローバルで製造及び販売する体制を強化するだけでなく,深紫外線LEDのソリューションをグローバルに提供すべく,FPCCと戦略的業務提携,および,その中核となる合弁会社の設立に向けて,基本合意に関する覚書を締結することを決議した。
同社及び技研の開発・技術・製造ノウハウ並びに医療機器を始めとしたアプリケーション開拓と,FPCCの強みとする低コストでの大量生産,FPCCが属するFormosa Plastic Groupの持つ可視光LEDでのチップ及びパッケージ生産,並びに,Formosa Plastic Groupの持つアジアを中心としたグローバルネットワークを組み合わせることで,深紫外LEDの需要伸長に即応できるとしている。
戦略的業務提携の内容は,(1)日機装及び技研が製造する深紫外線LEDチップ及び同チップを活用した器具・装置のグローバルでの販売 (2)日機装及び技研が有する開発・技術・製造ノウハウを用いた深紫外線 LEDチップ及び同チップを活用した器具・装置の製造,及びグローバルでの販売,の2点。
日機装は2016年の合弁会社設立後,まずは同社が製造する深紫外線LED製品の販売を開始し,その後,市場の需要動向を見ながら,合弁会社においてモジュール,パッケージ,チップ,及びウェハの製造を順次開始することで,2020年にはソリューションの提供を含め,売上高300億円を目指したグローバルベースでの販売・生産 体制を構築すべく,詳細条件を検討していく。技研は今後,更なる高出力化や歩留まり向上などの研究開発及び用途開発に注力することで,紫外線LED事業における技術優位性の維持及び向上に努めていくとしている。