九大ら,ドップラーライダー等で風力発電の安全性を確認

九州大学は2013年から東芝と共同で,風車の発電量を最大化し,かつ風車を安全に運転できる設置位置を選定する数値風況解析手法を開発し,2015年3月末に運転を開始した東芝ブランド初の2,000kWの風車2基に適用された(ニュースリリース)。

この共同研究で開発を進めてきた数値風況解析手法を適用した風車2基は,鹿児島県の新長島黒ノ瀬戸風力発電所に建設され,2015年3月末に運転を開始した。研究グループは風車建設予定地の3次元地形データを構築し,卓越風向である北東の風を対象に風車周辺に形成される複雑な風の流れを再現した。

そのシミュレーションで得られた膨大な数値データを見える化し,風車周辺に発生している複雑な気流の変化(地形性乱流)を定量的に調査した。

この共同研究で実施された数値風況シミュレーションの予測精度は,室内風洞実験の結果や,レーザー光を用いたドップラーライダー,風車ナセルに設置された風車制御用の風向・風速計,約60mの観測タワー上部に設置された風向・ 風速計による実観測データにより検証を行なった。

一連の検証の結果,風車に対する風況面の安全性を確認することに成功した。また,室内風洞実験や高所風況観測等も同時に実施し,共同研究で開発した数値風況解析手法の予測精度の検証に成功するとともに,風車に対する局所風況面の安全性を確認した。

建設された風車内部には歪ケージや加速度計等のセンサーを300点近く設置しており,今後,長期間収集を継続している高所風況観測データ及び数値風況解析データを比較し,局所的な風況の時間的・空間的な変化が風車の疲労荷重や寿命に与える影響を明らかにするとしている。

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