レンゴー,希土類フリーの可視光蛍光体を開発

段ボール大手のレンゴーは,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの助成を受けて開発を進めていた,希土類不使用型新規蛍光体「ガイアフォトンγ(ガンマ)」のサンプル出荷体制を整えたと発表した(ニュースリリース)。

同社はレアアースを使用しない全く新しい蛍光体として,「銀」を,フォージャサイト型のゼオライトに,イオン交換法を用いて担持させることで,焼成工程を必要とせずに蛍光体化することに成功した「ガイアフォトン®」を発表しているが,これはその改良版となるもの。410nm(紫色)の可視光照射で590~630nm(茜色から赤色)に発光する特性を有している。

これまでは350nm以下の紫外線照射が必要なため,紫外線発光LEDの本格的普及が実用化のネックとなっていたが,この問題を克服し,可視光照射による光の3原色表現の基本的なレシピを確立した。

既存の蛍光体は原料にレアアースを使用し,特に,赤色に発光する蛍光体の価格は非常に高価となっている。新製品は,焼成工程が不要なため製造時のエネルギー消費が圧倒的に少なく,価格も既存品の数分の一以下になると見込まれるという。

また,粒子径もφ3~5μmとLED照明用蛍光体として非常に適しており,今後,LED照明用途はもちろんのこと,偽造防止,化粧品,センサー,生活用品,玩具など,広範な用途開発も進めてるとしている。

開発はパートナー企業(ユニオン昭和,シナネンゼオミック),大学(東京大学,山梨大学)と連携して行なった。今後はそれぞれの持つ知見やネットワークを活用することで,これまで以上に事業化までのスピードアップを図っていくとしている。

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