矢野経済研究所では,カーボンナノチューブ(CNT)の世界市場調査を実施した(ニュースリリース)。
それによると,2014年のCNT世界市場規模はメーカー出荷量ベースで590.8t,前年比137.3%と大きく伸長した。このうち,単層CNTは試料としての採用が中心となっていたが,低価格・安定供給を打ち出すメーカーが参入したことで,2014年の市場規模は0.8t,同266.7%となった。多層CNT市場ではリチウムイオン電池(LiB)向けの需要が好調であり,2014年は590t,同137.2%と順調にその規模を拡大させている。
市場はリチウムイオン電池(LiB)用途が牽引しており,2014年の分野別需要構成比はエネルギー分野(LiB導電助剤等)がおよそ70%を占め,電気・電子分野(半導体部品の搬送トレー等)で20%弱,自動車分野(燃料部品等)で10%となっている。
また,2020年のCNT世界市場規模は単層CNT15t,多層CNT1,320tの合計で,1,335tに達するものと予測する。単層CNT市場ではサプライヤーの量産体制が整い始めたことで,本格的な立ち上がりの時期が近づいてきており,今後はキログラム単位からトン単位で市場が動くものとみている。
多層CNT市場では樹脂複合材料としての需要が底堅いほか,引き続きLiB用途が市場を牽引していくとしている。2018年頃にはゴム複合材料など新規テーマでの採用も期待できるとした。