富士通の静脈認証,カード会社の決済システムに採用

富士通と富士通フロンテックは,株ジェーシービー(JCB)と共同で,JCBのグローバル決済ネットワークに富士通の手のひら静脈認証技術を取り入れ,カードレス決済システムを構築した(ニュースリリース)。

近年,各種決済カードに代わる,スマートデバイスや指紋を使った様々な決済手段が実現されている。このような中,JCBは顧客がより便利に安心して利用できるサービスを提供するため,カードを携帯しなくても体の一部で決済が可能な生体認証技術による決済を検討していたが,利用実績があり,指紋などと比べて偽造が困難な手のひら静脈を利用する富士通の認証技術を活用したカードレス決済システムの構築を決定した。

運用にあたっては,あらかじめ,JCBの顧客の手のひら静脈情報を,カード情報と共に,富士通のデータセンター内の手のひら静脈認証サーバに登録しておく。

顧客が買い物をする際には,手のひらを静脈センサーにかざすと,手のひら静脈認証サーバーから合致するカード情報が読み出され,決済が行なわれる。ただし,登録人数により指定桁数の絞込みキーの入力が必要になる場合がある。

これにより,手ぶら決済が可能となり,カードやスマートデバイスを紛失する心配もない。また,体内情報である手のひら静脈は,指紋などの体表情報と異なり,濡れても形状が変わらずに認証可能なため,海水浴場や温浴施設など,あらゆるシーンで利便性に優れた決済が可能となるとしている。

また,手のひら静脈は体内情報であるため,体表情報である指紋と比べて偽造が困難。指や手の甲の静脈に比べて血管の本数が多く複雑であり,また,毛細血管である指の静脈に比べて太い幹線の血管であるため,安定して認証が行なえる。実験の結果,本人拒否率0.01%,他人受入率0.00008%以下という高い認証精度を実現している。

2004年に,富士通と富士通フロンテックが非接触型手のひら静脈認証装置を発売以来,累計47万台を出荷し,世界約60ヶ国で,6,300万人以上の利用実績があり,現在も導入実績は拡大中しているという。