セイコーNPCは,8×8画素のサーモパイル型赤外線アレイセンサーICとCMOS ICをワンチップ化し,レンズ光学系とADコンバーター付きマイコンと基板実装したサーモパイル型赤外線アレイセンサーを開発した。モジュールサイズは16×25×7.7mm。
高価なものが多い赤外線エリアセンサーにおいて,同社は断熱のために真空を用いない独自の構造をアレーに適用すると共に,光学系にもゲルマニウムレンズの代わりにシリコンレンズを用いるなどして,センサーのサンプル価格を1万円程度に抑えた。ニーズがあれば,量産効果によって1,000円/個を切る価格を実現したいとする。
このセンサーの公称放射温度分解能は±1.5℃だが,実際には±0.5程度まで調整が可能だとしている。20~200倍の倍率可変アプリにより,広い温度レンジの測定が可能で,応答時間は3ms,測定距離は約3mとなっている。
同社ではこのモジュールのアプリケーションとして,防災監視機器やセキュリティ機器,簡易サーモグラフィ,エアコン,電子レンジの温度管理などを想定している。既に引き合いが入っており,来年の製品化に向けて評価を重ねている最中だという。
また,より広いエリアでのセンシングのニーズを探るべく,同社では16×16画素のモジュールも試作している。こちらもニーズがあればすぐに製品化できるとしている。