富士キメラ総研は,スマートフォンをはじめとする携帯電話市場とそれらのキーデバイス市場を調査し,その結果を報告書「2015 次世代携帯電話とキーデバイス市場の将来展望」にまとめた(ニュースリリース)。
この報告書では携帯電話とキーデバイスのほか,タブレット端末,データ通信モジュール(外付け通信モジュールおよびモバイルルーター),ウェアラブル端末といったモバイル機器と,それらに搭載されるキーデバイス市場についても調査・分析した。また,参入しているメーカーの事業戦略について明らかにした。
それによると,携帯電話キーデバイスの価格下落が進み,ミドルからハイエンドクラスで搭載されていたデバイスがミドルロークラス以下の低価格帯に採用された。また,ミドルレンジクラスまでしか対応していなかったLTEがエントリークラスにまで拡大している。
スマートフォンの通信速度は今後さらに高速化し,2020年には1Gb/s時代の到来が予想されるという。超高速通信時代の幕開けとともに,これを実現するために搭載されるデバイスは大きく様変わりするとみる。
スマートフォンとフィーチャーフォンを合わせた携帯電話の世界市場は2014年に18億5,840万台。中国をはじめとする新興国向けのスマートフォン需要の伸びにけん引され,前年比7.2%増となったが,スマートフォンの普及率上昇,ユーザーの買い替えサイクル長期化などにより,その伸びは徐々に鈍化している。フィーチャーフォンは,世界的なスマートフォンへの移行があり減少しているとする。
2015年は,スマートフォンは伸びているものの前半に中国需要が低調であったことから伸び率が鈍化し,各社とも年初の計画を下回り,トータルで前年比ほぼ横ばいを見込む。
データ通信モジュールは,ノートPCや車載通信システム,家電といった携帯電話の通信網に対応していない製品に搭載することで,通信機能を付与するデバイス。ここではUSB型のドングルなど外付け通信モジュールやモバイルルーターを対象とした(フィーチャーフォン,タブレット端末などの内蔵モジュールは除外)。
市場は2014年に1億9,000万台となった。モバイルルーター,ノートPC向けなどがメインだが,ノートPC向けは頭打ちとなってきており,今後はM2M,車載通信システム向けが伸びると予想する。
M2Mはセキュリティ,医療・ヘルスケア,遠隔監視・モニタリング,輸送管理などの分野で期待されるとする。車載通信システムはEUで2015年10月以降,ecall搭載が義務付けられる。これにより,EU域内で標準化された通信プラットフォームが構築され,データ通信モジュールが搭載されることで市場拡大が続くとみる。
この他まだ少ないが,STB(セットトップボックス)などに直接通信機能を搭載するケースが増加する可能性もあるとしている。