興和は,直接目に触れたり目に薬剤を投与したりすることなく,角膜表面のドライアイ症状を観察することができる世界初のドライアイ観察装置「コーワ DR-1」に改良を加えた「コーワ DR-1α」を日本で2015年9月1日に発売する(ニュ-スリリース)。価格は190万円(税抜)。
日本では,スマートフォンやタブレット端末の普及などにより,ドライアイ患者数は急激に増えていると考えられ,その数は2,200万人に上るという報告がある。これは糖尿病患者数(糖尿病有病者と予備軍を合わせて約2,050万人)に匹敵する規模。
ドライアイとは,涙の異常により,目の表面の健康が損なわれる病気。目が乾く,ゴロゴロするといった不快感や,目のかすみや視力低下などの視機能異常をともなうといわれている。
原因は様々だが,急激に普及したスマートフォンの長時間利用やパソコン画面などのモニターを見続けることにより,まばたきが少なくなることや,冷暖房などによる乾燥で目が乾きやすくなることなども一因と考えられている。また,コンタクトレンズの長時間装用や,食生活の変化,運動不足など,生活環境の影響も指摘されている。
新製品は,角膜表面の涙の状態を光の干渉を利用して観察する装置で,目に接触して涙の量を測ったり,目に薬剤を投与して状態を観察するなどの手法の代わりに,非接触・非侵襲で角膜全面(目の表面)の状態を容易に観察することができる。
具体的には,まばたきのタイミングと涙液層が破壊(まばたきを止めて継続して開瞼すると,涙が角膜上を覆っていない部分が出現し,次第に拡大していく現象)したタイミングを指定することにより涙液層破壊時間(BUT)を算出する。
コンタクトレンズ装用時でも涙の状態を動画でみることができるので,多数のスマートフォンユーザー,オフィスワーカーがかかえるドライアイを,眼科医が効率よく観察できるので,適確な診断,治療をサポートすることができる。
新製品は従来のアナログからデジタル方式になった。光源に白色LEDを採用し,低消費電力(70VA)の実現に加え,コンパクトで軽量なので設置も容易に行なえる。また,最大30秒の録画機能も装備した。
同社では新製品が眼科診療所のみならず,コンタクトレンズ店や眼鏡店に併設の検眼施設での幅広い応用と,ゆくゆくは自分自身の健康を自ら管理する「セルフケア」に寄与すると期待している。